ぼくはまだ、競馬を完全には理解していません。
ただ、競馬界隈で使われる言葉については、少しずつ理解できるようになってきました。
その一つが、
「逆神」
です。
本命にした馬が負ける。
自信満々に消した馬が勝つ。
GIで推奨した人気馬が、そろって馬券圏外へ沈む。
そんな結果が続くと、競馬ファンから言われます。
「また逆神が本命にした」
「この人が選んだなら消しでいい」
「ある意味、最も信頼できる予想家」
普通の予想家は、当たるほど評価されます。
しかし逆神は、外れるほど注目されます。
予想が外れているのに、むしろ馬券の参考にされる。
よく考えると、かなり不思議な存在です。
今回は、競馬民界隈で有名な「逆神」たちについて、特定の個人を評価するのではなく、
- なぜ逆神と呼ばれる人が生まれるのか
- 本命馬を逆に消せば本当に儲かるのか
- 外れ続ける予想には情報価値があるのか
- AIで逆神を検証するなら何を見るべきか
という観点から考えてみます。
「逆神」とは何なのか
競馬界隈で使われる逆神とは、簡単に言えば、
予想と反対の結果が頻繁に起きると認識されている人
です。
本命馬が負けるだけではありません。
場合によっては、
- 本命馬が大敗する
- 危険視した人気馬が勝つ
- 消した穴馬が激走する
- 推奨した複数頭が全滅する
- 自信度が高いほど外れる
といった出来事が重なり、逆神としての印象が強くなります。
競馬ファンの間では、新聞記者、予想家、芸能人、YouTuber、SNS発信者など、さまざまな人が逆神扱いされます。
ただし、その呼ばれ方には客観的な基準があるわけではありません。
多くの場合は、
- 印象的な外れが続いた
- 大レースで何度も本命馬が負けた
- 発言が強気だった
- SNSで外れた部分が繰り返し拡散された
といった理由で定着します。
つまり、逆神は正式な成績区分ではなく、競馬ファンが作り出した一種のキャラクターです。
逆神にはいくつかのタイプがある
逆神と呼ばれる人たちを見ていると、全員が同じ外れ方をしているわけではありません。
人気馬本命型
毎回のように上位人気馬を本命にするタイプです。
人気馬は好走率が高いため、一定数は当たります。
しかし、GIなど注目度の高いレースで1番人気が何度か負けると、
「また飛ばした」
という印象が強く残ります。
この場合、本当に予想精度が低いというより、人気馬を選ぶ回数が多いだけかもしれません。
穴馬推奨型
毎回、人気薄を本命にするタイプです。
穴馬はそもそも好走確率が低いため、外れる回数は多くなります。
しかし、一度大きな配当を当てれば、長期間その実績を紹介できます。
外れが多いのは予想が悪いからではなく、最初から低確率・高配当を狙う戦略である可能性があります。
強気発言型
「この馬で間違いない」
「負ける要素が見当たらない」
「今回は鉄板」
と、断定的な表現を使うタイプです。
同じ不的中でも、
「候補の一頭です」
と言っていた人より、
「絶対に来る」
と言っていた人の方が強く記憶されます。
予想精度よりも、言葉の強さによって逆神の印象が作られる場合があります。
大レース限定型
普段の予想成績はほとんど知られていないものの、GIで本命馬が何度も負けたことで逆神扱いされるタイプです。
競馬ファンはすべての平場レースを覚えているわけではありません。
日本ダービー、有馬記念、天皇賞など、多くの人が見ているレースで外すと、その印象が広く共有されます。
切り抜き型
予想全体では複数の馬を挙げているのに、外れた本命馬だけが切り取られるタイプです。
本命は負けたが、対抗馬が勝っていた。
推奨馬は負けたが、買い目は的中していた。
単勝は外れたが、複勝では利益が出ていた。
こうした背景が省かれ、
「また本命が飛んだ」
という部分だけが拡散されることがあります。
なぜ逆神は人気になるのか
普通に考えれば、外れ続ける予想家は注目されなくなりそうです。
しかし、逆神には独特の人気があります。
理由の一つは、結果が分かりやすいからです。
当たる予想家については、
- 的中率
- 回収率
- 券種
- 購入点数
- 対象レース
まで確認しなければ、本当に優れているか分かりません。
一方、逆神は単純です。
「この人の本命馬が負けた」
という一つの出来事だけで盛り上がれます。
さらに、競馬には不的中がつきものです。
自分の馬券が外れたときでも、
「逆神と本命がかぶった時点で危なかった」
と考えれば、少し気持ちが楽になります。
逆神は、予想情報であると同時に、競馬ファンが外れを笑いに変えるための存在なのかもしれません。
逆神の本命を消せば当たるのか
ここで、多くの競馬ファンが一度は考えます。
「この人の本命馬を消せば、馬券が当たるのではないか」
確かに、本命馬が頻繁に負けるなら、その馬を買わないことで損失を避けられそうです。
しかし、実際には簡単ではありません。
例えば、ある予想家の本命馬が100レース中25勝だったとします。
75回は負けています。
数字だけを見ると、かなり外れているように感じます。
しかし、その本命馬の平均オッズが5倍なら、
25勝 × 500円 =12,500円
100円ずつ購入した合計額は1万円なので、単純計算では利益が出ます。
反対に、本命馬が100レース中40勝していても、平均オッズが1.8倍なら、
40勝 × 180円 =7,200円
となり、回収率は72%です。
つまり、
よく外れることと、馬券として価値がないことは同じではありません。
逆神を判断するには、本命馬の勝率だけでなく、オッズと回収率を見る必要があります。
「本命を消す」だけでは馬券は完成しない

仮に逆神の本命馬を消すことに成功したとしても、それだけでは的中馬券になりません。
16頭立てのレースで1頭を消しても、まだ15頭残っています。
必要なのは、
- どの馬が勝つのか
- どの馬を相手にするのか
- どの券種を買うのか
- 何点購入するのか
という判断です。
「逆神の本命を消したら、その馬が負けた」
という結果だけなら、消し判断は成功です。
しかし、自分が買った別の馬も負けていれば、馬券としては不的中です。
逆神を利用するとき、人は消した馬が負けたことだけを確認しがちです。
実際の収支まで考えるなら、
その人の予想を反対にした買い方を、具体的にどう構築するのか
を決めなければなりません。
逆神を逆に買うと「全頭買い」に近づく
予想家が、
- ◎A馬
- ○B馬
- ▲C馬
- △D馬、E馬
と印をつけたとします。
これを反対に解釈すると、
「AからEまでを消して、残りの馬を買う」
という形になります。
16頭立てなら11頭残ります。
単勝を全頭買えば、的中する可能性は高くなります。
しかし、購入金額も増えます。
さらに、人気薄ばかり残るとは限りません。
印をつけなかった中にも、人気馬や中穴馬が含まれることがあります。
逆神予想の反対側をすべて買う方法は、見た目ほど簡単な攻略法ではありません。
「本命を消す」ことと、「利益の出る買い目を作る」ことの間には、大きな距離があります。
印象に残る外れだけを数えていないか
逆神という評価には、記憶の偏りも影響します。
例えば、有名な予想家がGIで1番人気を本命にし、その馬が大敗したとします。
多くの人がレースを見ているため、SNSでは大きく話題になります。
翌週も本命馬が負ければ、
「また逆神が発動した」
と盛り上がります。
一方、平場で本命馬が勝っても、それほど話題になりません。
人気馬が普通に勝っただけだからです。
この結果、
- 外れた予想は拡散される
- 当たった予想は流れていく
- 大レースの外れだけが記憶に残る
という状態になります。
実際の成績よりも、外れている印象が強くなる可能性があります。
逆神かどうかを判断するなら、目立つ数レースだけではなく、一定期間の全予想を確認する必要があります。
人気馬を本命にすれば「逆神」になりやすい
上位人気馬を中心に本命を選ぶ予想家は、勝率そのものは比較的高くなります。
しかし、競馬では1番人気でも毎回勝つわけではありません。
むしろ、負けるレースの方が多い条件もあります。
そのため、1番人気を本命にし続ければ、外れる回数も自然に積み上がります。
そして有名な予想家ほど、外れたときに注目されます。
つまり、
本命馬がよく負けるから逆神
というより、
毎週多くの人に見られながら、一頭の本命馬を公表し続けているから外れが蓄積される
という面もあります。
毎週予想を公開し続ければ、誰でも一定数は印象的な外れを経験します。
逆神という呼び名には、公開予想を続けること自体の難しさも含まれているのかもしれません。
本当に逆神なら、反対予想で利益が出るはず
逆神を単なる愛称ではなく、馬券戦略として扱うなら、検証方法はシンプルです。
その人の予想と反対の買い方を事前に決めて、回収率を測ります。
例えば、
方法A:本命馬を単勝候補から除外する
その人の◎を消し、残った馬から自分の予想で単勝を選びます。
ただし、自分の予想が入るため、逆神効果だけは測れません。
方法B:本命馬以外の単勝を全頭買う
本命馬以外をすべて100円ずつ買います。
的中率は高くなりますが、購入点数が多く、配当次第では損失になります。
方法C:本命馬の敗戦へ賭ける
日本の馬券には「この馬が負ける」という直接的な券種はありません。
そのため、ほかの馬の単勝や複数馬券へ変換する必要があります。
方法D:本命馬が人気のときだけ除外する
1~3番人気など、過剰人気の可能性がある条件に限定します。
条件を絞れば検証しやすくなりますが、対象件数が少なくなります。
どの方法でも必要なのは、発走前にルールを決めることです。
結果を見てから、
「この場合は逆に買えた」
と考えてはいけません。
逆神にも「期待値」が必要
ある予想家の本命馬が高確率で負けるとしても、市場がその傾向を知っていれば、簡単に利益は得られない可能性があります。
例えば、
「この人が本命にした馬は過剰人気になる」
という現象が本当にあるなら、その馬のオッズは本来より低くなるかもしれません。
この場合、本命馬を避けることには意味がある可能性があります。
一方、その予想家にオッズを動かすほどの影響力がなければ、本命発表と市場価格はほとんど関係しないでしょう。
また、本命馬が負けやすくても、ほかの馬のオッズが十分でなければ、反対側を買って利益が出るとは限りません。
逆神を使う場合も、結局は、
- 対象馬の勝率
- 市場オッズ
- 購入点数
- 券種
- 回収率
を確認する必要があります。
「逆神だから消す」は、期待値計算を省略する魔法のルールではありません。
逆神が当てると、なぜ不安になるのか
逆神と呼ばれている人が、自分の本命馬と同じ馬を選んだとします。
すると、不安になります。
「せっかく自信があったのに」
「本命を変えた方がいいのではないか」
「よりによってかぶってしまった」
しかし、その人が本命にしたことで、馬の能力や状態が変わるわけではありません。
出走馬は、誰が予想しているかを知りません。
それでも評価を変えたくなるのは、逆神という物語が自分の判断に入り込んだからです。
このとき確認したいのは、
- 自分がその馬を選んだ理由
- 逆神の予想を見る前の評価
- オッズに購入価値があるか
- 新しい客観情報が出たか
です。
予想家と本命が重なったという情報だけでは、勝率を変更する根拠にはなりません。
逆神の「消し馬」は、むしろ買いたくなる
逆神の本命だけでなく、
「この馬は来ない」
と断言した馬にも注目が集まります。
もし、その馬が勝てば、
「逆神が消したから買えた」
という物語が完成します。
しかし、消し馬が毎回勝つわけではありません。
むしろ、予想家が消した馬の多くは実際に負けている可能性があります。
16頭立てで6頭に印をつけたなら、残る10頭は実質的に低評価です。
そのうち勝てるのは一頭だけです。
レース後には勝った一頭だけが取り上げられますが、残り9頭も負けています。
「逆神が消した馬が勝った」という出来事だけを見ると、逆張りが有効に見えます。
しかし、消した全馬を買っていた場合の収支を計算しなければ、馬券価値は分かりません。
逆神は予想家よりも「娯楽コンテンツ」に近いことがある
逆神という存在は、必ずしも馬券攻略のためだけに楽しまれているわけではありません。
予想発表前から、
「今回はどの馬を飛ばすのか」
と注目されます。
本命馬が勝てば、
「逆神卒業」
と盛り上がる。
負ければ、
「通常運転」
と盛り上がる。
どちらの結果でもコンテンツが成立します。
これは、予想精度とは別の価値です。
競馬を楽しむための話題や、ファン同士の共通言語として機能しています。
問題は、娯楽として楽しんでいた逆神情報を、そのまま馬券判断へ持ち込むことです。
笑い話として見るなら問題ありません。
しかし、資金を投入するなら、印象ではなく成績を確認する必要があります。
逆神扱いには注意も必要

逆神という言葉は、競馬界隈では軽い冗談として使われます。
しかし、予想を公開している人に対し、外れた部分だけを取り上げて強く批判するのは少し違うように思います。
競馬予想は必ず外れます。
勝率30%の予想でも、10回中7回は外れる計算です。
人気馬を本命にしても負けます。
穴馬を本命にすれば、さらに不的中は増えます。
また、予想家が出しているのは一つの見解であり、購入するかどうかを決めるのは馬券を買う側です。
「この人のせいで負けた」
という考え方になると、自分の購入判断を検証できなくなります。
予想は参考情報です。
最終的な券種、点数、賭け金を決めた責任まで、予想家に渡すことはできません。
AIで逆神を検証するなら
競馬AIの研究テーマとして考えるなら、逆神の存在は興味深い題材です。
感覚ではなく、公開された予想をデータとして集計できます。
例えば、次の項目を記録します。
| 記録項目 | 内容 |
|---|---|
| 予想者 | 誰の予想か |
| レース | 日付、競馬場、条件 |
| 本命馬 | ◎を打った馬 |
| 人気・オッズ | 市場評価 |
| AI評価 | p_win、指数順位 |
| 着順 | 実際の結果 |
| 単勝回収率 | ◎を毎回買った場合 |
| 逆張り回収率 | 事前に決めた反対戦略 |
| 自信度 | 鉄板、勝負などの表現 |
| 公開時刻 | オッズ形成前か後か |
このデータがあれば、
- 本命馬の勝率
- 人気別成績
- オッズ帯別回収率
- GIだけの成績
- 自信度別成績
- AI評価との一致・不一致
- 逆張りした場合の成績
を確認できます。
重要なのは、「よく外れるか」だけではありません。
本命馬を毎回買ったときと、反対の馬を買ったときのどちらが利益を残したかです。
逆神と呼ばれていても、本命馬の単勝回収率が100%を超えているかもしれません。
反対に、的中率は高くても、低オッズばかりで回収率は低い可能性もあります。
AIと逆神の評価が一致したらどうするか
現在ぼくが使っている競馬AIが指数1位にした馬を、有名な逆神も本命にしたとします。
かなり不安な状況です。
しかし、AIの評価まで変更する必要はありません。
見るべきなのは、
- AIのp_win
- オッズ
- モデルの得意条件か
- 上位馬との指数差
- 予想家が本命にした理由
- 自分が見落としている情報
です。
予想家とAIが同じ馬を評価しているなら、共通する材料がある可能性があります。
一方、その馬がすでに過剰人気なら、馬券として見送ることもできます。
ここでも、
「逆神とかぶったから消す」
ではなく、
その評価が市場価格にどこまで織り込まれているか
を考える必要があります。
逆神の使い方として最も安全なのは「再確認」

逆神情報を完全に無視する必要はありません。
ただし、購入や消去を即決する材料ではなく、再確認のきっかけとして使う方がよさそうです。
例えば、
「この人の本命と自分の本命が重なった」
ときに、
- 人気だけで選んでいないか
- 不安材料を無視していないか
- オッズが低すぎないか
- 買わずに勝たれる恐怖で選んでいないか
を見直します。
反対に、逆神が消した馬を自分が高く評価しているなら、
- 自分だけが見落としている欠点はないか
- AIが条件変更を正しく扱えているか
- 人気薄を過大評価していないか
を確認します。
逆神は答えを逆に読むための存在ではなく、自分の予想をもう一度点検するための警報装置として使えます。
まとめ
競馬民界隈で有名な「逆神」たち。
その存在は、単に予想が外れる人というだけではありません。
- 強気な予想が外れる
- 大レースで印象的な敗戦が続く
- 外れた部分だけが拡散される
- 買わずに勝たれる後悔を象徴する
- 競馬ファンの娯楽コンテンツになる
といった要素が重なり、逆神というキャラクターが作られます。
ただし、馬券へ利用するなら注意が必要です。
- 本命馬が負ける回数だけで判断しない
- 勝率と回収率を分ける
- 人気帯やオッズ帯を確認する
- 反対に買うルールを事前に決める
- 消した馬すべての成績を見る
- 大レースだけで評価しない
- 予想家と本命が重なっても、理由なく変更しない
- 購入判断の責任を予想家へ渡さない
ぼくはまだ、競馬を理解している途中です。
有名な逆神が自分と同じ馬を本命にすると、やはり少し不安になります。
その人が消した穴馬を見ると、急に買いたくなることもあります。
しかし、馬は逆神の印を見て走っているわけではありません。
誰が本命にしたかで、能力も適性も変わりません。
逆神が本当に馬券へ使える存在なら、印象的な外れ話ではなく、
その予想を一定のルールで買い続けた場合と、反対に買い続けた場合の回収率
に表れるはずです。
「この人の逆を買えば当たる」は、競馬民の楽しい戯言です。
それを馬券戦略に変えるには、逆神本人以上に、こちら側が冷静にデータを集める必要があるのかもしれません。




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