穴馬を探す行為は本当に期待値につながるのか|人気薄を狙う意味を考えてみる

競馬解説者から穴馬を探す様子 競馬データの基礎

競馬をしていると、「穴馬を見つけたい」という気持ちはかなり強くなります。

単勝2倍の1番人気を当てるより、単勝20倍の人気薄を当てた方が嬉しい。SNSでも高配当的中の方が目立ちますし、「この馬を買えたのは自分だけだった」という感覚もあります。

競馬予想の面白さを考えるなら、穴馬探しにはかなり大きな魅力があります。

一方で、少し冷静に考えると疑問も出てきます。

穴馬を探すこと自体は、本当に期待値の高い行為なのでしょうか。

単勝20倍の馬には、20倍なりの理由があります。多くの人が勝つ可能性を低く見積もっているからこそ、そのオッズになっています。

それなら、「人気薄だから妙味がある」「穴馬を見つければ儲かる」という考え方は少し雑かもしれません。

反対に、1番人気でも本当の勝率が市場の評価を上回っているなら、その馬こそ期待値が高い可能性があります。

今回は、「穴馬を探す」という競馬で非常に自然な行為を、期待値という観点から考えてみます。

  1. そもそも穴馬とは何なのか
  2. 人気薄だから期待値が高いわけではない
  3. 本当に探したいのは「穴馬」ではなく「過小評価された馬」
  4. それでも穴馬が魅力的に見える理由
  5. SNSはさらに穴馬探しを魅力的に見せる
  6. 穴馬探しは「当たらないこと」を許容する必要がある
  7. 「穴馬を一頭見つける」のと「穴馬ばかり買う」のは違う
  8. 穴馬が生まれる理由を考える
  9. 前走着順が悪い馬は典型的な穴候補
  10. 地味な馬ほど期待値があるという仮説は本当か
  11. 人気薄を狙うほど情報不足の可能性も高くなる
  12. 「AI1位・人気薄」は本当に強い条件なのか
  13. 人気順位の差だけではなく確率とオッズを直接比較したい
  14. 高オッズほどAIの確率誤差が怖くなる
  15. 低確率領域のキャリブレーションが重要になる
  16. 期待値が高くても資金曲線はかなり荒れる
  17. 単勝よりワイドで穴馬を使う方法もある
  18. 「穴馬1頭+人気馬」という組み合わせも考えられる
  19. 「荒れそうなレースで穴を探す」は正しいのか
  20. 穴馬を何頭も買ったら、それは本当に穴狙いなのか
  21. 穴馬を探すより「買われすぎている馬」を探す方が簡単かもしれない
  22. AIにとって穴馬とは「市場との残差」なのかもしれない
  23. 実際に検証するなら人気別だけで終わらせたくない
  24. 高配当一撃依存も確認したい
  25. 穴馬を見つけた「理由」を残してみる
  26. 「穴馬を当てたい」と「利益を出したい」は少し違う
  27. それでも穴馬探しをやめる必要はない
  28. まとめ

そもそも穴馬とは何なのか

穴馬という言葉には、明確な定義がありません。

5番人気から穴馬と呼ぶ人もいれば、単勝10倍以上を穴馬と考える人もいます。GⅠで10番人気の馬なら明確な穴馬ですが、少頭数のレースでは6番人気でも十分人気薄です。

つまり「穴馬」は、能力ではなく市場評価によって決まります。

例えば同じ能力の馬でも、単勝5倍なら中穴、20倍なら穴馬という扱いになるでしょう。

ここで重要なのは、穴馬とは「弱い馬」ではなく「市場から低く評価されている馬」だということです。

そして期待値を考える場合、問題になるのは人気順位そのものではありません。

市場がその馬をどれくらい低く評価しているのか。そして、その評価が本当に妥当なのか。

ここに意味があります。

人気薄だから期待値が高いわけではない

場外発券場で結果を見る様子

例えば単勝20倍の馬がいたとします。

単純化すると、このオッズは市場がその馬の勝率をかなり低く見ていることを表します。

仮に実際の勝率が3%しかないなら、

0.03 × 20 = 0.60

となり、期待値は低くなります。

一方、単勝3倍の人気馬でも、本当の勝率が40%あるなら、

0.40 × 3 = 1.20

です。

この例では、穴馬より人気馬の方が期待値は高くなります。

つまり、

高オッズ=高期待値

ではありません。

期待値は、

勝つ確率 × オッズ

の組み合わせで決まります。

どれだけオッズが高くても、勝率がそれ以上に低ければ意味がありません。

穴馬探しで最初に意識したいのはここだと思います。

本当に探したいのは「穴馬」ではなく「過小評価された馬」

言い換えるなら、馬券で探したいのは穴馬ではありません。

市場から過小評価されている馬です。

それがたまたま10番人気なら穴馬になります。

しかし1番人気でも、過小評価されることは理論上あります。

例えば市場が勝率40%程度と見て単勝2.5倍を付けている馬を、自分のAIが勝率50%と評価しているなら、その馬には期待値がある可能性があります。

反対に、12番人気で単勝50倍でも、AIが勝率1%と評価しているなら、安いどころか割高です。

この違いはかなり重要です。

「穴を探そう」と考えると、最初から人気馬を候補から外してしまいます。

しかし期待値を探すなら、

1番人気。

5番人気。

12番人気。

を同じように比較できます。

競馬AIとの相性が良いのも、こちらの考え方です。

AIは「穴馬だから面白い」とは考えません。

p_winとオッズを比較して、市場との差を見るだけです。

それでも穴馬が魅力的に見える理由

強そうな馬を横目で見る

理屈では分かっていても、穴馬を探したくなるのには理由があります。

一つは、的中したときのインパクトです。

単勝1.8倍を当てても資金は大きく増えません。単勝30倍なら一度でかなり増えます。

この差は記憶にも残ります。

30倍を当てたレースは何年後でも覚えているのに、1.8倍を当てたレースは忘れていることもあります。

その結果、

「自分は穴馬を見つけるのが得意」

という印象が強くなる可能性があります。

一方で、穴馬を20頭買って19頭外したことはあまり記憶に残りません。

つまり穴馬探しは、成功したときだけ非常に印象が強い予想方法でもあります。

SNSはさらに穴馬探しを魅力的に見せる

この傾向はSNSでさらに強くなります。

「1番人気単勝2.1倍的中」

という投稿は、それほど注目されません。

しかし、

「12番人気◎で単勝48倍的中」

なら拡散されやすくなります。

馬券画像も派手ですし、予想者の実力が強く印象付けられます。

そのため競馬SNSを見ていると、

穴馬を見つけることこそ優れた予想

という感覚になりやすいのだと思います。

しかし本来比較したいのは、その1頭だけではありません。

その予想者が普段どれくらいの穴馬を推奨しているのか。外れた馬も含めて回収率がどうなっているのか。

そこまで見なければ、本当に穴馬選定に価値があるかは分かりません。

以前考えた「SNSの的中報告はどこまで信じていいのか」という話ともつながります。

穴馬探しは「当たらないこと」を許容する必要がある

馬の影

穴馬中心の戦略には、当然ながら低い的中率が付きまといます。

例えば単勝20倍前後の馬を中心に買うなら、10回、20回と連続で外れることは普通に考えられます。

長期的に期待値がプラスだったとしても、短期的な収支はかなり不安定になります。

例えば、

的中率8%
平均的中オッズ15倍

という戦略があったとします。

長期的には面白そうでも、12回連続で外れることは全く珍しくありません。

ここで人間側が耐えられなくなると、

賭け金を増やす。

別の馬まで追加する。

人気馬を保険で買う。

途中で戦略をやめる。

といった行動が出てきます。

その結果、理論上の戦略とは違う馬券になります。

つまり穴馬戦略では、予測能力だけでなく、低い的中率へ耐えられるかも重要です。

「穴馬を一頭見つける」のと「穴馬ばかり買う」のは違う

競馬新聞見る人

ここも分けて考えたいところです。

例えば毎レース人気薄を探し、必ず1頭穴馬を買う。

これは「穴馬中心戦略」です。

一方、普段は人気に関係なく期待値を探し、その中でAIと市場の評価差が大きい人気薄がいたときだけ買う。

こちらはかなり違います。

後者では、

穴馬は目的ではなく結果

です。

期待値を探した結果、たまたま人気薄だっただけです。

個人的には、競馬AIで目指したいのはこちらだと思います。

「今日の穴馬はどれ?」

ではなく、

「今日、AIと市場の評価が最も違う馬はどれ?」

と考える。

その馬が1番人気なら1番人気を買うし、10番人気なら穴馬になります。

穴馬が生まれる理由を考える

では、市場から本当に過小評価される穴馬は、どんなときに生まれるのでしょうか。

ここを考える方が、単純に人気順位を見るより面白そうです。

例えば、前走着順が悪い馬は人気を落としやすいでしょう。

しかし前走10着でも、大外を回した、展開が不向きだった、距離が合わなかった、不利があったなど、今回改善する理由があるなら評価を上げられるかもしれません。

あるいは地味な騎手、地味な厩舎、重賞実績のない馬は、有名馬より人気しにくい可能性があります。

つまり狙うべきなのは、

人気がないことそのものではなく、人気がない理由に対して市場が反応しすぎていないか

です。

ここまで考えると、穴馬探しは「人気薄を探すゲーム」ではなく、「市場の誤解を探すゲーム」に近くなります。

前走着順が悪い馬は典型的な穴候補

馬のオブジェ

例えば、

前走2着の馬。

前走10着の馬。

がいたとします。

多くの場合、前者の方が人気になります。

これは合理的です。

しかし前走着順には、展開や相手関係など多くの要因が含まれます。

10着馬が実際には不利を受けており、今回条件が改善するなら、着順だけを見て人気を落としていることが妙味につながるかもしれません。

ここで重要なのは、

「前走二桁着順だから穴馬で面白い」

ではありません。

市場が前走10着をどれくらい減点しているかと、自分がどれくらい減点するかの差

です。

AIなら、前走着順以外の特徴量も同時に評価できます。

その結果、

市場8番人気。

AI2位。

という馬が出てくるなら、穴馬として面白い候補になります。

地味な馬ほど期待値があるという仮説は本当か

競馬では、人気を集めやすい要素があります。

有名騎手。

GⅠ実績。

前走1着。

良血。

派手な上がり。

テレビやSNSで話題。

こうした馬は自然と注目されます。

反対に、

前走5着。

地味な騎手。

条件戦を地道に走ってきた。

特に派手な末脚なし。

という馬は、強く推されにくいでしょう。

それなら、「地味な馬ほど期待値があるのでは?」という仮説を立てられます。

ただしこれも検証が必要です。

市場参加者も馬鹿ではありません。

地味でも安定して強い馬は普通に人気になります。

「地味だから市場が見逃す」と決めつけるのも危険です。

期待値があるとすれば、地味さそのものではなく、市場がその地味さを過剰に嫌っている条件でしょう。

人気薄を狙うほど情報不足の可能性も高くなる

穴馬探しには別の難しさもあります。

人気薄である理由が、自分には見えていないだけかもしれません。

例えばAIが高評価した10番人気馬がいたとします。

「市場は見落としている」

と思いたくなります。

しかし実際には、

調教が悪い。

状態面に不安。

陣営コメントが弱い。

長期休養明け。

競馬場で気性面の問題が出ている。

といった情報を、市場の方が織り込んでいる可能性もあります。

AIが構造化データだけを使っている場合、こうした情報は入っていないことがあります。

つまり、

AIと市場が大きく食い違う=AIが正しい

ではありません。

市場だけが持っている情報が存在する可能性も考えたいところです。

「AI1位・人気薄」は本当に強い条件なのか

競馬AIを使っていると、かなり魅力的に見える条件があります。

AI指数1位。

単勝10倍以上。

あるいは6番人気以下。

これだけを見ると、

「AIが市場より評価している穴馬」

なので期待値がありそうです。

しかし、本当にそうなのかはデータで確認する必要があります。

例えばAI1位を人気別に分けます。

AI1位の人気勝率単勝回収率
1番人気--
2~3番人気--
4~6番人気--
7~9番人気--
10番人気以下--

この集計をすれば、「AIと市場が食い違うほど期待値が高くなるのか」が見えてきます。

もしかすると7~9番人気が最も高く、10番人気以下になると急激に悪化するかもしれません。

そうなれば、

市場との適度な乖離は価値があるが、極端な乖離では市場の方が正しい

という可能性もあります。

これはかなり面白い検証です。

人気順位の差だけではなく確率とオッズを直接比較したい

さらに精密に考えるなら、人気順位だけでは少し粗いです。

AI1位・8番人気。

という情報だけでは、その馬がどれくらい過小評価されているか分かりません。

例えばAIのp_winが0.12で単勝10倍なら、

0.12 × 10 = 1.20

です。

一方、AIのp_winが0.06で単勝10倍なら、

0.06 × 10 = 0.60

です。

どちらも8番人気でも意味は全く違います。

そのため期待値を狙うなら、

AI順位-人気順位

より、

p_win × オッズ

を直接見る方が理論的には自然です。

人気順位差は「市場との食い違い」を分かりやすく観察する指標。

p_winとオッズは、実際に買うか判断する指標。

と役割を分けてもよさそうです。

高オッズほどAIの確率誤差が怖くなる

穴馬を期待値で買う場合、もう一つ大きな問題があります。

p_winの推定誤差です。

例えば単勝2倍の馬。

AIが勝率55%と予測しているとします。

本当は50%だったとしても、誤差は5ポイントです。

一方、単勝30倍の馬についてAIが勝率5%と予測したとします。

本当は3%だった。

差はたった2ポイントです。

しかし期待値は大きく変わります。

5% × 30 = 1.50

3% × 30 = 0.90

です。

つまり穴馬では、小さな確率推定のズレが期待値判定を大きく変えます。

高オッズ馬ほど、

「5%と3%を正確に区別できるのか」

という難しい問題が出てきます。

これは穴馬戦略のかなり大きな弱点だと思います。

低確率領域のキャリブレーションが重要になる

そのため競馬AIで穴馬を狙うなら、低いp_win帯のキャリブレーションを確認したいところです。

例えば、

p_win 0.03~0.05。

0.05~0.07。

0.07~0.10。

の馬が、実際にどれくらい勝っているのかを調べます。

もしp_win 0.05と出した馬が長期的には3%しか勝っていないなら、AIは人気薄を過大評価している可能性があります。

その状態で、

「p_win 5%、単勝25倍だから期待値1.25」

と計算しても危険です。

本当の勝率が3%なら期待値は0.75です。

穴馬戦略ほど、確率の精度そのものが重要になるということです。

期待値が高くても資金曲線はかなり荒れる

崖っぷちで困っている様子

仮に、本当に期待値のある穴馬だけを選べたとします。

それでも収益が滑らかに増えるとは限りません。

例えば毎回1,000円ずつ買い、30回連続で外れる。

マイナス3万円。

31回目に単勝40倍が当たり、4万円。

一気にプラス1万円。

こうした収益曲線になります。

長期的には正しくても、途中はかなり不安になります。

一方、人気馬中心なら小さな払戻を積み上げるため、収支変動は比較的小さくなります。

つまり馬券戦略は、

期待値だけでなく分散

も考える必要があります。

穴馬に期待値があるとしても、自分がその変動幅へ耐えられないなら実戦では運用しにくいでしょう。

単勝よりワイドで穴馬を使う方法もある

穴馬を見つけたからといって、必ず単勝を買う必要もありません。

例えばAIが、

「勝つ確率はそこまで高くないが、上位には来やすい」

と評価しているなら、複勝やワイドの方が合う可能性があります。

人気薄の単勝は高配当ですが、的中率がかなり低くなります。

ワイドなら、人気薄が3着以内へ入ればよいため、穴馬評価を比較的安定して馬券へ変換できます。

以前考えた「指数は単勝・複勝・ワイドのどれに向いているのか」と同じで、

穴馬を見つけることと、どの馬券で買うかは別問題

です。

AIが発見した市場との乖離を、最も適した馬券種へ変換する必要があります。

「穴馬1頭+人気馬」という組み合わせも考えられる

馬券投票カード

例えばAI上位に、

1番人気。

2番人気。

8番人気。

がいたとします。

8番人気だけを単勝で狙う方法もあります。

しかし馬連やワイドで、人気馬との組み合わせを買う方法もあります。

市場全体の予想が完全に間違っている必要はありません。

「上位人気2頭はだいたい正しい。ただし3番手評価だけ市場が間違っている」

ということもあります。

この場合、

穴馬探し=人気馬を全部否定する

必要はありません。

市場の一部分だけズレていると考えればよいわけです。

これはかなり現実的な穴馬の使い方だと思います。

「荒れそうなレースで穴を探す」は正しいのか

競馬では、混戦レースほど穴馬を探したくなります。

指数差が小さい。

人気も割れている。

それなら人気薄にもチャンスがありそうです。

これは一定の合理性があります。

しかし、混戦であるほどAI自身の予測精度も低くなる可能性があります。

前回考えた「指数差が小さい混戦レースは見送るべきなのか」という問題です。

AIが、

A馬14%。

B馬13%。

C馬12%。

D馬11%。

と出しているなら、人気薄にも十分勝機があります。

一方で、どの馬がその穴なのかを特定することは難しくなります。

つまり、

荒れそうと分かることと、荒らす馬を当てることは別

です。

ここを混同すると、「今日は荒れそうだから穴馬をいっぱい買う」という買い目増加につながります。

穴馬を何頭も買ったら、それは本当に穴狙いなのか

例えば10番人気、11番人気、12番人気を全部買ったとします。

どれか来れば高配当です。

しかし3頭分の資金を使っています。

さらに馬連や三連複で大量に組み合わせれば、払戻金は高くても投資額も大きくなります。

「万馬券的中」という結果だけを見ると成功に見えますが、購入額を含めれば利益が小さいこともあります。

穴馬戦略では、

配当の高さに目を奪われて、購入点数を忘れないこと

も重要です。

本当に期待値を取りにいくなら、どの穴馬まで買うのかを事前に決める必要があります。

穴馬を探すより「買われすぎている馬」を探す方が簡単かもしれない

ここで少し逆の発想をします。

過小評価された穴馬を見つけるのは難しい。

それなら、過大評価されている人気馬を探した方が簡単なのではないか。

例えばAIでは上位5頭がほぼ横並びなのに、1番人気だけ単勝1.8倍。

この場合、どの穴馬が勝つかは分かりません。

しかし、

1番人気が市場ほど抜けていない

という判断ならできるかもしれません。

その人気馬を外した馬連や三連複を考える。

あるいは、他のAI上位馬を複数候補にする。

穴馬そのものをピンポイントで探すより、「危ない人気馬」を探す方が再現しやすい可能性があります。

穴馬探しは、実は人気馬評価の裏返しでもあります。

AIにとって穴馬とは「市場との残差」なのかもしれない

AI目線で考えると、「穴馬」というカテゴリを最初から作る必要はないのかもしれません。

例えばAIが各馬のp_winを予測します。

一方、市場オッズから市場の評価を推定します。

その差を取ります。

AI評価 高い
市場評価 低い

この差が大きい馬が、結果として穴馬になります。

つまり穴馬とは、

AI予測と市場評価の残差が大きい馬

とも考えられます。

この見方なら、人気順位に縛られません。

4番人気でも大きな乖離があれば狙えますし、12番人気でも乖離がなければ買いません。

競馬AIとしては、この方がかなり自然です。

実際に検証するなら人気別だけで終わらせたくない

穴馬の期待値を研究するなら、いくつかの切り口で集計してみたいところです。

まず人気別。

次に単勝オッズ別。

さらにAI順位別。

そしてAIと人気の順位差別。

例えば、

AI1位・1~3番人気。

AI1位・4~6番人気。

AI1位・7~9番人気。

AI1位・10番人気以下。

と分けます。

さらに、

p_win × オッズが1.0未満。

1.0~1.1。

1.1~1.2。

1.2以上。

と分けても面白そうです。

もし期待値推定が機能しているなら、理論上はこの数字が高いグループほど長期回収率も高くなるはずです。

ここまで確認できれば、「穴馬を買う」のではなく、

期待値のある馬を買った結果、穴馬が多く含まれていた

と言えるようになります。

高配当一撃依存も確認したい

穴馬戦略では必ず確認したい項目です。

例えば1,000レースで回収率115%。

一見かなり良い結果です。

しかし、その中に単勝150倍の的中が一度あった。

それを除くと回収率92%。

なら、この戦略を「穴馬を安定して見つけられる」と評価するのは難しいでしょう。

そこで、

最大払戻を除いた回収率。

上位3件の払戻を除いた回収率。

中央値。

年別回収率。

なども見ます。

穴馬戦略だから高配当が出ること自体は悪くありません。

しかし、一度の奇跡がなければ成立しない戦略なのかは確認したいところです。

穴馬を見つけた「理由」を残してみる

競馬新聞から発見する様子

実戦では、穴馬候補を買うときに理由を分類しておくと面白そうです。

例えば、

AIと人気の乖離。

前走不利。

距離替わり。

展開。

初ブリンカー。

人気馬過剰評価。

騎手替わり。

条件戻り。

などです。

半年後、それぞれの回収率を確認します。

すると、

「自分は前走不利の穴馬は拾えている」

「初ブリンカー穴馬は全然ダメ」

「AIと市場の乖離だけで買った方が成績が良い」

といった傾向が見えるかもしれません。

何となく穴馬を探すより、自分がどんな理由で穴馬を評価しているのかを残す方が研究になります。

「穴馬を当てたい」と「利益を出したい」は少し違う

ここまで考えると、穴馬探しには二つの目的が混ざっている気がします。

一つは、競馬を楽しむためです。

人気薄を見つけ、それが走る。

これはかなり楽しいです。

もう一つは、利益を出すためです。

こちらでは、穴馬である必要はありません。

期待値があるなら人気馬でも買うべきです。

この二つを混ぜると、

「穴馬を当てたから良い予想だった」

となりやすくなります。

しかし投資額を含めたら負けているかもしれません。

逆に1番人気中心でも、長期的に回収率が高いなら馬券戦略としては優秀です。

だから、

穴馬を探す楽しさと、期待値を探す作業は分けて考えてもよい

のだと思います。

それでも穴馬探しをやめる必要はない

ここまでかなり穴馬探しへ慎重なことを書きましたが、穴馬を狙う意味がないと言いたいわけではありません。

むしろ競馬で市場より優位に立つためには、市場が間違っているところを見つける必要があります。

そして市場が大きく間違っていれば、その馬は人気薄になっている可能性が高い。

つまり、穴馬は期待値の原因ではありませんが、

市場の過小評価を発見した結果として現れるもの

ではあります。

この順番が大事なのだと思います。

穴馬だから買う。

ではなく、

期待値がありそうだから買う。

結果を見ると穴馬だった。

この状態を目指したいところです。

まとめ

穴馬を探す行為は、本当に期待値につながるのか。

結論としては、

穴馬を探すこと自体には期待値はありません。

人気薄には、人気がない理由があります。単勝20倍だからお得なのではなく、その馬が20倍以上の勝率を持っていると判断できたときに初めて価値が生まれます。

だから本当に探したいのは、

「穴馬」

ではなく、

市場から過小評価されている馬

です。

その馬は8番人気かもしれません。

4番人気かもしれません。

場合によっては1番人気かもしれません。

競馬AIなら、人気順位そのものよりp_winとオッズを比較する方が自然です。

一方で、穴馬を狙う場合には特有の難しさがあります。

的中率が低い。

連敗が長くなる。

確率推定の小さな誤差が期待値を大きく変える。

高配当一撃で回収率が歪みやすい。

さらに、「穴を当てたい」という感情が買い目を増やす可能性もあります。

そのため穴馬戦略を検証するなら、単純な的中実績だけではなく、人気別、オッズ別、AIとの評価差、低確率帯のキャリブレーション、最大払戻依存まで確認したいところです。

そして、穴馬を見つけた理由も残しておく。

AIと市場の乖離だったのか。

前走不利だったのか。

条件替わりだったのか。

人気馬の過剰評価だったのか。

それを積み上げれば、「自分はどんな穴馬なら見つけられるのか」が少しずつ見えてくるかもしれません。

競馬では、穴馬を当てた瞬間がとても目立ちます。

しかし長期的な馬券で重要なのは、「大きな配当を当てたか」ではなく、

そのオッズに対して、その馬を買う価値があったか

です。

穴馬は目的ではない。

期待値を探した先に、たまたま穴馬がいる。

競馬AIで穴馬を扱うなら、そのくらいの距離感がちょうどよいのかもしれません。

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