2026年9月5日の中山11R、京成杯オータムハンデを競馬AI指数から見ていきます。
今回の指数を見て最初に気になったのは、1位の数字そのものよりも「人気とのズレ」です。
AI1位はクルゼイロドスルでp_win=9.50%。ところが競馬新聞の予想オッズでは78.8倍、15番人気想定となっています。さらにAI2位メタルスピードも29.0倍の9番人気想定、AI3位テレサも31.4倍の11番人気想定です。クルゼイロドスルは近走着順だけを見ると目立ちませんが、今年のマイラーズCでは14着ながら勝ち馬と0.5秒差、上がり32秒9。1月の睦月Sでも0.4秒差で上がり32秒6を使っていました。
つまり今回は、上位人気馬をそのままAIが高く評価したレースではありません。
一方でAI1位の勝率も10%に届かず、上位5頭を合計しても42.13%。指数だけを見ると、特定の1頭を強く信頼するというより、かなり勝率が分散したレースです。
人気薄が上位に並んだから穴狙いのレースなのか。それとも、単純にAIが難しいレースだと判断しているだけなのか。
今回は馬柱と照らし合わせながら考えてみます。
AI指数上位5頭
まずは今回の指数です。
| AI順位 | 馬番 | 馬名 | p_win | 新聞予想オッズ | 予想人気 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | クルゼイロドスル | 9.50% | 78.8倍 | 15人気 |
| 2 | 13 | メタルスピード | 9.09% | 29.0倍 | 9人気 |
| 3 | 15 | テレサ | 8.34% | 31.4倍 | 11人気 |
| 4 | 6 | ファンダム | 7.71% | 6.5倍 | 2人気 |
| 5 | 12 | ディールメーカー | 7.49% | 7.8倍 | 5人気 |
1位クルゼイロドスルから5位ディールメーカーまで、わずか2.01ポイント差しかありません。
さらに1位から4位までなら1.79ポイント差。
かなりの混戦です。
興味深いのは、新聞予想オッズを単純に「1÷オッズ」で勝率換算した場合とのズレです。もちろん控除率を無視した単純比較なので、そのまま期待値とは呼べませんが、AIと市場の温度差を見る材料にはなります。
| 馬名 | AI勝率 | 予想オッズからの単純勝率 | 差 |
|---|---|---|---|
| クルゼイロドスル | 9.50% | 約1.27% | +8.23pt |
| メタルスピード | 9.09% | 約3.45% | +5.64pt |
| テレサ | 8.34% | 約3.18% | +5.16pt |
| ファンダム | 7.71% | 約15.38% | -7.67pt |
| ディールメーカー | 7.49% | 約12.82% | -5.33pt |
実際の最終オッズではありませんが、現時点ではかなり特徴的な並びです。
AI上位3頭は市場より高評価。
反対にファンダム、ディールメーカーはAIも上位には置いているものの、市場ほど抜けた評価ではありません。
今回のテーマは、かなり明確です。
「人気馬の能力を疑っている」というより、「人気薄にも人気馬とほぼ同程度の勝機がある」とAIが判断しているレース
と捉えた方がよさそうです。
AI1位クルゼイロドスルは本当に15番人気級なのか
最も気になるのはクルゼイロドスルです。
p_win=9.50%でAI1位。
それに対して予想オッズ78.8倍、15番人気想定。
ここまでズレると、まずAIの方を疑いたくなります。
近走を見ると、
- 朱鷺S 14着
- パラダイスS 4着
- マイラーズC 14着
- 睦月S 7着
- 京都金杯 7着
確かに着順だけなら、人気がないことにも納得できます。
ただ、着差を見ると印象は少し変わります。
マイラーズCは14着ながら勝ち馬アドマイヤズームから0.5秒差。しかも上がり32秒9。睦月Sもレイベリングから0.4秒差で上がり32秒6、京都金杯も0.3秒差でした。
「14着」という数字ほど大きく負けているわけではありません。
特に今回と同じ芝1600mでは、かなり速い上がりを使えている点が気になります。
前走は1400mの朱鷺Sで14着でしたが、今回再び1600mへ戻ります。
AIが何を根拠に1位へ置いたかを特徴量レベルで確認しなければ断定できませんが、少なくとも馬柱から考えられる仮説としては、
近走着順の悪さに対して、マイルでの着差や末脚能力がそれほど低下していない
という部分を拾っている可能性があります。
そして今回は1番枠。
中山芝1600mでロスなく運べるのはプラスになり得ます。
ただしクルゼイロドスルは基本的に差す競馬をしてきた馬です。
内枠を生かして距離を稼げる反面、後方で包まれると直線の短い中山では進路を確保する時間がありません。
78倍なら魅力的、と単純に考えるのではなく、
能力そのものより位置取りの再現性にリスクがある馬
として扱いたいところです。
それでも15番人気想定という評価と比較すれば、今回のAI上位馬では最も興味深い1頭です。
AI2位メタルスピードは中山マイル実績が魅力
2位はメタルスピード。
p_win=9.09%。
予想オッズ29.0倍、9番人気想定です。
クルゼイロドスルほどではありませんが、こちらもAIと市場の評価にかなり差があります。
近3走は、
関屋記念14着、しらさぎS10着、ダービー卿CT9着。
これだけを見ると狙いにくい馬です。
ただし、今年3月の幕張Sでは中山芝1600mを1分32秒3で逃げ切っています。
しかも当時の斤量は55kg。
今回も55kgです。
ここはクルゼイロドスル以上に分かりやすい材料があります。
近走成績は悪いが、今回と同じ中山芝1600m+55kgでは好走実績がある。
前走の関屋記念は不良馬場で5.6秒差。かなり特殊な条件だったため、あの一戦だけで現在の能力を判断するのは難しいでしょう。
しらさぎSも稍重。
一方、幕張Sを勝ったときは良馬場です。
今回も良馬場に近い条件になれば、近2走とは別のパフォーマンスが出ても不思議ではありません。
ただし問題は展開です。
メタルスピードは前へ行きたい馬ですが、AI5位ディールメーカーも逃げる競馬で結果を出してきた馬。ディールメーカーは今年のラジオNIKKEI賞でも逃げて2着、中山1600mの1勝クラスも逃げ・先行から勝利しています。
さらに他にも前へ行きたい馬がいます。
メタルスピードにとって、「楽に自分の形へ持ち込めるか」はかなり重要になりそうです。
AI3位テレサは距離短縮が最大のポイント
3位はテレサ。
p_win=8.34%。
予想オッズ31.4倍、11番人気想定です。
こちらも市場評価とのズレが大きな馬です。
近走は府中牝馬S15着。
2.9秒差なので、前走だけを見るとかなり買いにくく映ります。
しかしその前は、
- 福島牝馬S 5着
- 小倉牝馬S 4着
- ローズS 2着
と重賞で何度も上位争いをしています。ローズSではカムニャックから0.2秒差、小倉牝馬Sでもジョスランから0.2秒差でした。
能力そのものが足りない馬ではなさそうです。
問題は1600m。
近走は1800~2000mが中心で、今回は一気にマイルへ短縮します。
前走府中牝馬Sの大敗から距離短縮となるため、「前走が悪かったから消す」という考え方だけなら簡単ですが、AIはむしろ3位まで評価しています。
ここで考えたいのが中山マイルの流れです。
テレサは後方一気ではなく、比較的前のポジションから競馬できるタイプ。
マイルの追走スピードに対応できれば、直線までにある程度の位置を確保できる可能性があります。
さらに55kg。
近走の重賞で戦ってきた相手関係を考えると、31倍という評価まで人気が落ちるならAIが拾いたくなる理由は理解できます。
一方で、
「1800~2000mで好走してきた能力を、そのまま1600mへ移してよいのか」
は今回の大きな検証ポイントです。
結果次第では、距離短縮馬に対するモデルの評価を振り返る面白い材料になりそうです。
AI4位ファンダムは最も安心感があるが、AIは抜けた評価をしていない
4位ファンダムは少し性質が違います。
p_win=7.71%。
予想オッズ6.5倍、2番人気想定。
AI上位5頭の中では市場からもしっかり評価されている馬です。
前走しらさぎSは4着ながら勝ち馬エルトンバローズから0.1秒差。
今年1月には今回と同じ中山芝1600mのニューイヤーSで3着。こちらも勝ち馬カピリナから0.1秒差でした。
条件適性を考えれば、かなり分かりやすい有力馬です。
2走前の京王杯SC8着、3走前のオーシャンS12着は1400m、1200m。
1600mへ戻った前走で再び0.1秒差まで走っています。
そのため、
「今回走る可能性が高い馬はどれか」
だけを考えれば、AI上位5頭ではファンダムが最も理解しやすいかもしれません。
ただし面白いのは、AIでは4位にとどまっていることです。
1位クルゼイロドスル9.50%に対してファンダム7.71%。
人気は大きく違いますが、AI上ではその差は1.79ポイントしかありません。
つまりAIは、
ファンダムを弱いとは考えていないものの、2番人気ほど他馬との差があるとも考えていない
ということになります。
今回のような混戦では、この違いは馬券を考えるうえで重要になりそうです。
AI5位ディールメーカーは54kgと中山実績が魅力
5位は3歳馬ディールメーカー。
p_win=7.49%。
予想オッズ7.8倍、5番人気想定です。
こちらはファンダム同様、市場からも比較的評価されています。
今年3月の中山芝1600m1勝クラスを1分33秒5で勝利。
続くニュージーランドTでは4着ながら0.3秒差。
そして前走ラジオNIKKEI賞では逃げて2着、勝ち馬サノノグレーターから0.2秒差でした。
今回は54kgです。
条件だけを並べるとかなり魅力があります。
3歳馬。
中山マイル実績あり。
重賞好走歴あり。
54kg。
しかも前へ行ける。
AIが5位に入れたことにも違和感はありません。
ただ、予想オッズ7.8倍を単純勝率へ変換すると約12.8%。
AIは7.49%です。
そのため、
「好走材料が揃った有力馬ではあるが、人気を加味するとそれほど割安ではない」
というのが今回の指数からの読みになります。
もちろん実際の最終オッズがどうなるかで話は大きく変わります。
ディールメーカーについては、評価そのものを下げるのではなく、オッズを見ながら扱いたい馬です。
1番人気想定フォルテアンジェロをAIが上位5頭に入れなかった
今回もう一つ面白いのがフォルテアンジェロです。
競馬新聞では3.2倍の1番人気想定。
ホープフルS2着、皐月賞5着、ダービー12着。
3歳世代のGⅠ路線を歩いてきた馬です。ホープフルSでは勝ち馬ロブチェンから0.1秒差、皐月賞でも0.5秒差でした。
それにもかかわらず、今回のAI上位5頭には入りませんでした。
これはかなり気になる結果です。
ただし、ここで「AIはフォルテアンジェロを消した」と考えるのは早いでしょう。
今回示されているのは上位5頭だけなので、6位以下の具体的なp_winは分かりません。
そしてAI1位自体が9.50%しかありません。
つまり6位だったとしても、上位との差が非常に小さい可能性があります。
それでも市場との違いはあります。
フォルテアンジェロはこれまで2000~2400mを中心に使われてきた馬。
今回は1600mへの大幅な距離短縮です。
GⅠ実績だけならメンバー上位でも、
中山芝1600mで要求される追走力や位置取りをどう評価するのか
という問題があります。
逆にここをあっさり克服して勝つようなら、「格」や3歳GⅠでの高いパフォーマンスをAIが過小評価していた可能性も出てきます。
今回のレース後に最も確認したい馬の一頭です。
上位3頭が人気薄なのは偶然なのか
今回の指数を見ていると、
1位クルゼイロドスル 15番人気想定
2位メタルスピード 9番人気想定
3位テレサ 11番人気想定
となっています。
こういう指数を見ると、つい「穴馬を3頭発見した」と考えたくなります。
ただ、ここは慎重に扱いたいところです。
AI1位でも勝率は9.50%です。
言い換えれば、AI自身もクルゼイロドスルが負ける確率を90%以上と見積もっています。
今回の指数は、
「クルゼイロドスルがかなり強い」
というより、
「どの馬にもそれほど高い勝率を与えられない中で、クルゼイロドスルを市場よりは高く評価している」
という意味です。
この違いはかなり重要です。
単勝で穴馬を買うとき、「AI1位」という順位だけを見ると強い根拠のように感じます。
しかし1位9.5%と、1位30%ではまったく意味が違います。
今回のようなレースでは順位以上に、
- 上位馬同士の指数差
- 絶対的なp_win
- 市場オッズとの乖離
をセットで見る必要がありそうです。
今回は「AIが市場に逆らう理由」を確認したい
個人的に今回最も興味深いのは、的中するかどうかだけではありません。
AIと市場がかなり違う答えを出していることです。
これまで指数を検証していると、市場との乖離には二つのパターンがあります。
一つは、本当に人気の盲点になっているケース。
もう一つは、AIが市場の知っているリスクを十分に理解できていないケースです。
今回なら、
クルゼイロドスルの近走着順。
メタルスピードの近3走。
テレサのマイルへの距離短縮。
いずれも市場が嫌う理由は分かります。
それでもAIは高く評価しました。
ここで人気薄が好走すれば、「着順だけでは見えない能力」をAIが拾えていた可能性があります。
反対に3頭とも大きく負けるようなら、
過去の上がり、着差、クラス実績などを評価しすぎて、現在の状態や条件適性を十分に反映できていない
可能性を考える必要があります。
単なる予想としてだけでなく、モデルを理解するためにも面白い一戦です。
今回注目したい5頭を整理する
最後に、AI上位5頭の見方を整理しておきます。
| 馬 | AIから見た注目点 | 馬柱から見た不安 |
|---|---|---|
| クルゼイロドスル | 15番人気想定ながらAI1位。マイルで速い上がり実績 | 近走着順、差し脚質で1番枠をどうさばくか |
| メタルスピード | AI2位。中山1600mを55kgで勝利 | 近3走不振、同型との兼ね合い |
| テレサ | 重賞好走歴に対して11番人気想定 | 1600mへの距離短縮 |
| ファンダム | 中山1600m実績、前走重賞0.1秒差 | 市場ほどAI評価は高くない |
| ディールメーカー | 54kg、中山マイル実績、3歳馬 | 逃げ・先行争いとオッズ妙味 |
個人的に最も結果を確認したいのはクルゼイロドスルです。
15番人気想定でAI1位。
ここまで極端な乖離は、当たっても外れても検証価値があります。
一方、馬柱との整合性まで考えるとメタルスピードも面白い存在です。
今年すでに同じ中山芝1600mを1分32秒3で勝っており、今回も55kg。近走成績によって人気を落とすなら、AI2位という評価には一定の根拠を見つけやすい馬です。
ファンダムとディールメーカーは能力的には買いやすい一方、現時点の予想オッズではAI以上に市場が評価しています。
この差をどう馬券へ落とし込むか。
今回の京成杯AHは、AI指数とオッズを組み合わせる意味を考えるのに適したレースになりそうです。
まとめ
2026年の京成杯オータムハンデで、AIが1位に評価したのはクルゼイロドスルでした。
p_win=9.50%。
しかし競馬新聞では78.8倍、15番人気想定です。
さらに2位メタルスピードが29.0倍、3位テレサが31.4倍と、AI上位3頭はいずれも人気薄。
一方、2番人気想定のファンダムはAI4位、5番人気想定ディールメーカーはAI5位。1番人気想定フォルテアンジェロは上位5頭に入りませんでした。
市場とAIの評価がかなり異なるレースです。
ただし忘れてはいけないのは、AI1位でも9.50%しかないことです。
上位5頭の合計も42.13%。
AI自身が「この馬で決まり」と言っているわけではなく、かなり勝率を分散させています。
今回の見どころは、
人気薄が強いというより、市場ほど人気馬と人気薄の能力差をAIが感じていないこと
でしょう。
クルゼイロドスルは近走着順こそ悪いものの、マイルでは速い上がりを使いながら小差の競馬があります。
メタルスピードには中山芝1600mの勝利実績。
テレサには牝馬重賞での好走歴があります。
いずれも人気が落ちる理由と、AIが評価できそうな理由の両方を持っています。
人気薄3頭のうちどれかが馬券圏内へ入るのか。
それとも市場の評価通り、ファンダム、ディールメーカー、フォルテアンジェロといった人気サイドが上位を占めるのか。
今回については的中だけでなく、「AIが市場と違う答えを出した理由は正しかったのか」までレース後に振り返りたいと思います。



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