2026年10月17日の東京11Rは、芝1600mで行われる富士S(GII)。14頭立てで、競馬新聞上の展開予想はスローペースとなっています。
今回のAI指数は、いつもの重賞以上に興味深い並びになりました。
1位はミトノオルフェで p_win=0.1539。ここまでは数字だけならそれほど珍しくありませんが、競馬新聞上では52.3倍の11番人気想定。さらに2位シンフォーエバーは p_win=0.1131 に対して287.4倍の14番人気想定です。
一方、1番人気想定のアンパドゥはAI3位。2番人気想定アドマイヤズーム、3番人気想定トロヴァトーレはAI上位5頭に入っていません。
つまり今回は、
「実績馬が順当に上位を占める富士S」ではなく、AIと人間側の評価が大きく食い違っているレース
として観察する価値がありそうです。
もちろん、大穴がAI上位だからといってそのまま狙うという話ではありません。むしろ、なぜこれほど評価差が生まれているのか。その背景を馬柱と照らし合わせながら整理してみます。
- 富士SのAI指数上位5頭
- AI1位ミトノオルフェ|1400m連勝から半年ぶり、1600m延長をどう見るか
- AI2位シンフォーエバー|287倍想定を11.31%まで評価する理由は何か
- AI3位アンパドゥ|実績と指数が一致した唯一の上位人気馬
- AI4位ファンダム|重賞で崩れない安定感を評価
- AI5位シュガークン|2200mから1600mへの大胆な距離短縮
- 人気馬アドマイヤズームがAI上位5頭外
- トロヴァトーレもAI上位外|東京実績なら最上位級
- 3歳エコロアルバも上位5頭には入らず
- 今回は「AI穴馬」よりも評価差そのものを観察したい
- p_winを見るとミトノオルフェも絶対的な本命ではない
- 富士Sで確認したい5つのポイント
- まとめ
富士SのAI指数上位5頭
今回のAI指数は次の通りです。
| AI順位 | 馬番 | 馬名 | p_win | 予想人気・オッズ |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 2 | ミトノオルフェ | 0.1539 | 11人気・52.3倍 |
| 2位 | 3 | シンフォーエバー | 0.1131 | 14人気・287.4倍 |
| 3位 | 10 | アンパドゥ | 0.0829 | 1人気・3.4倍 |
| 4位 | 1 | ファンダム | 0.0798 | 5人気・15.5倍 |
| 5位 | 13 | シュガークン | 0.0748 | 10人気・45.9倍 |
最初に目につくのは、やはり1、2位です。
通常なら人気上位が指数上位にもある程度入ってきますが、今回はAI1位と2位が二桁人気想定。
逆に、
- アドマイヤズーム:2人気想定
- トロヴァトーレ:3人気想定
- エコロアルバ:4人気想定
という有力馬がAIトップ5から外れています。
指数そのものよりも、この「市場とのズレ」を観察したいレースです。
AI1位ミトノオルフェ|1400m連勝から半年ぶり、1600m延長をどう見るか
AIが最も高く評価したのは2番ミトノオルフェ。
p_winは15.39%です。
最大の特徴は、近走の勢いでしょう。
3月の中京芝1400m・岡崎特別を1分20秒0で勝利。そのまま4月の阪神芝1400m・心斎橋Sも1分19秒7で勝ち、2連勝でオープン入りしました。心斎橋Sでは11番手から差し切り、2着に0.2秒差をつけています。
1400mで明確にパフォーマンスを上げてきた馬です。
その一方で今回は1600m。
さらに6カ月半ぶりの実戦となります。
休み明け成績は、
鉄砲[0.0.0.3]
という点も無視できません。
馬柱だけを素直に見るなら、11番人気想定になる理由も理解できます。
ただし1600m自体が未知というわけではありません。
今年1月の中山芝1600mでは、マテンロウブラボーから0.3秒差の4着。勝ち切れなかったものの、大きく崩れてはいません。
したがって今回のAI評価は、
「1400m連勝による近走能力上昇」
を強く評価しつつ、
「1600mへの延長にも一定の対応余地がある」
と判断している可能性があります。
面白いのは、今回の新聞上の展開予想がスローであることです。
ミトノオルフェは馬柱上「先行」に分類されていますが、直近では中団から脚を使う競馬もできています。
東京1600mでスローになった場合、単純な瞬発力勝負になれば不安も残りますが、内枠からロスなく立ち回れれば、この52.3倍という想定ほど評価を下げる必要があるのか。
今回最大の観察対象です。
AI2位シンフォーエバー|287倍想定を11.31%まで評価する理由は何か
今回さらに異質なのが3番シンフォーエバーです。
p_win=11.31%。
ところが競馬新聞上は287.4倍の14番人気想定。
ほぼ最低人気です。
しかも近走成績を見る限り、人間側が評価しにくいのも当然です。
直近は、
- しらさぎS 17着・1.8秒差
- 安土城S 14着・1.2秒差
- 谷川岳S 13着・0.9秒差
と大敗が続いています。
通常の予想なら、かなり強い理由がなければ手を出しにくい馬です。
それでもAIは2位。
ここは無理に後付けの理由を作らない方がいいでしょう。
馬柱だけからは、
「なぜ11.31%なのかを明快に説明できる材料は少ない」
というのが率直な印象です。
ただ、今回のようなケースこそAI指数を記録している意味があります。
シンフォーエバーは先行タイプ。
富士Sの展開予想はスローです。
もし前へ行く馬が少なく、楽に好位を取れるなら近走とは違うレースになる可能性はあります。
一方、近3走の内容からは復調の裏付けがありません。
したがって今回は、
「AIの穴馬抽出が本当に有効なのか、それともモデル特有の過大評価なのか」
を見る格好のサンプルでしょう。
もしこれで大敗すれば、似た特徴を持つ馬をモデルが過剰評価していないか確認する材料になります。
逆に上位へ来るなら、単純な近走着順では見えない何かを指数が拾っている可能性があります。
個人的には、今回もっとも結果を確認したい一頭です。
AI3位アンパドゥ|実績と指数が一致した唯一の上位人気馬
AI3位は10番アンパドゥ。
p_win=8.29%です。
1番人気想定なので、AI上位5頭の中では最も人間側の評価と一致しています。
前走の関屋記念は圧巻でした。
不良馬場の新潟芝1600mを1分32秒4で走り、2着クランフォードに0.9秒差。12番手付近から直線で内を突いて抜け出しています。
さらに東京1600mでは5月の分倍河原Sを勝利。
こちらも8番手から差し切り、1分32秒2。
東京マイルへの適性もすでに確認されています。
この馬だけを見るなら、人気になるのは自然でしょう。
ただ、興味深いのはAIが1位ではなく3位に留めていることです。
p_winも8.29%。
前走の圧勝ぶりや東京実績を考えると、AIは人間ほどアンパドゥを突出した存在とは見ていません。
ここは今回の富士Sを考える上で重要です。
市場では「アンパドゥが中心」と考えられていても、AIは、
上位馬同士の差はそこまで大きくない
と見ている可能性があります。
人気とAI評価の差という意味では、ミトノオルフェやシンフォーエバーとは逆方向の観察対象です。
AI4位ファンダム|重賞で崩れない安定感を評価
1番ファンダムはp_win=7.98%で4位。
こちらは馬柱を見ても比較的理解しやすい評価です。
近2走はともに芝1600mの重賞。
しらさぎS4着は勝ち馬エルトンバローズから0.1秒差。
京成杯AHも4着ながら0.2秒差でした。
つまり、
勝ち切れてはいないものの、マイル重賞で連続して僅差
という馬です。
今年前半は1200~1400mも使われていましたが、近走を見る限り1600mの方が安定しています。
東京では京王杯SC8着がありますが、これは1400m。
今回は1600mへ戻ります。
1枠1番という枠も含め、ロスなく立ち回れる可能性があります。
AI上位の中で、
- ミトノオルフェ
- シンフォーエバー
- シュガークン
は何らかの大きな不確定要素があります。
その点ファンダムは、
近走実績と条件適性のバランスが最も素直
です。
p_winこそ7.98%ですが、指数4位の中身としては安定感があります。
AI5位シュガークン|2200mから1600mへの大胆な距離短縮
そしてAI5位が13番シュガークン。
p_win=7.48%。
これも非常に面白い評価です。
近走は、
宝塚記念2200m
新潟大賞典2000m
東京優駿2400m
青葉賞2400m
という中長距離路線。
今回1600mです。
競馬新聞でも逃げタイプとして整理され、予想オッズ45.9倍の10番人気となっています。過去には青葉賞を2分24秒2で勝っていますが、近2走は新潟大賞典15着、宝塚記念17着でした。
常識的には、
「マイルのスピードについていけるのか」
が最初に浮かびます。
それでもAI5位。
ここもモデルと人間の感覚が大きく違います。
仮にスローペースになれば、シュガークンの持続力を活かす形になる可能性はあります。
特にエンペラーズソードなどとの位置取り次第ではありますが、極端なハイペースにならず前に行ければ、中長距離馬のスタミナがマイル戦で活きるケースもあります。
ただし1600m適性そのものには明確な裏付けがありません。
AI5位という数字をそのまま信頼するというより、
「距離適性より基礎能力を強く評価しすぎていないか」
を確認したい一頭です。
シンフォーエバーと同様、モデル診断という意味で重要な馬になりそうです。
人気馬アドマイヤズームがAI上位5頭外
AI上位だけを見て終わると今回の面白さを半分しか捉えられません。
まず注目したいのが5番アドマイヤズームです。
予想オッズ3.6倍の2番人気。
今年4月のマイラーズCでは芝1600mを1分31秒7で勝利。2番手から抜け出し、ドラゴンブーストを退けています。休み明け成績も[1.1.0.1]です。
普通に馬柱だけを見るなら、有力候補です。
しかしAIトップ5には入りませんでした。
ここはかなり重要でしょう。
アドマイヤズームが好走すれば、
「AIが実績馬を必要以上に軽視した」
可能性があります。
逆に凡走すれば、
「実績と人気ほど今回の条件では優位ではなかった」
と見る余地が出てきます。
特に今回は6カ月ぶり。
マイラーズCの強さをそのまま今回へ持ち込めるのかがポイントになります。
トロヴァトーレもAI上位外|東京実績なら最上位級
4番トロヴァトーレも見逃せません。
予想3番人気。
今年は東京新聞杯1着、エプソムC1着。
東京新聞杯では東京芝1600mを1分32秒2で勝っています。安田記念こそ9着でしたが、それでもGIで0.7秒差でした。
コース適性だけなら今回のメンバーでも上位でしょう。
それでもAI5位以内には入りません。
今回のAI予想は、
「東京マイル実績=そのまま高評価」ではない
ことが分かります。
ここも結果を見て検証したいところです。
特にトロヴァトーレは差しタイプ。
スローペース予想が本当にその通りなら、後方に置かれた場合には展開面のリスクがあります。
AIがそのような脚質と展開の組み合わせを低く見積もっているのかは分かりませんが、結果との比較材料にはなります。
3歳エコロアルバも上位5頭には入らず
14番エコロアルバは4番人気想定。
昨年のサウジアラビアRCを東京芝1600mで勝利。
今年のしらさぎSでは古馬相手に53kgながら3着、勝ち馬から0.1秒差でした。
3歳馬で今回は55kg。
実績を考えれば人気になるのも納得できます。
しかしAI上位にはいません。
東京1600mで重賞勝ちがあり、古馬重賞でもすでに好走。
馬柱だけなら大きな欠点は少なく見えます。
それでもAIが低めに評価している点は、アドマイヤズーム、トロヴァトーレと合わせて今回の重要テーマです。
今回は「AI穴馬」よりも評価差そのものを観察したい
今回の富士Sを単純に、
「AI1位が52倍だから面白い」
「AI2位が287倍だから大穴だ」
と捉えるのは少し危険だと思います。
むしろ見るべきなのは、
なぜAIと馬柱評価がこれほど食い違ったのか
です。
整理すると、今回のAI上位は大きく3タイプに分かれます。
| タイプ | 該当馬 | 特徴 |
|---|---|---|
| 人気薄だが指数上位 | ミトノオルフェ、シンフォーエバー、シュガークン | AIと市場評価が大きく乖離 |
| 人気・指数とも上位 | アンパドゥ | 実績との整合性が高い |
| 中穴で指数上位 | ファンダム | マイル重賞で安定 |
逆に、
- アドマイヤズーム
- トロヴァトーレ
- エコロアルバ
は、馬柱では買いやすい一方でAI上位外。
この構造を見ると、今回のレースは「AI予想の的中」以上に、
モデルが人気馬と穴馬をどう評価しているのかを検証するレース
として価値があります。
p_winを見るとミトノオルフェも絶対的な本命ではない
もう一つ忘れてはいけないのが確率そのものです。
AI1位ミトノオルフェでも、
p_win=0.1539
です。
15.39%。
つまりモデル自身も、
「かなり勝つ」
と判断しているわけではありません。
AI2位シンフォーエバーは11.31%。
アンパドゥは8.29%。
上位馬同士には差がありますが、ミトノオルフェでさえ勝たない確率の方が圧倒的に高い。
ここを順位だけで見てしまうと、
「AI◎ミトノオルフェ」
という強い印象になってしまいます。
しかし本来は、
「14頭の中では最も高く評価したが、それでも勝率15%程度」
です。
今回のように人気とのズレが大きいレースほど、この違いを意識したいところです。
富士Sで確認したい5つのポイント
今回のレース後に特に確認したいのは次の5点です。
- ミトノオルフェは半年ぶり、1600m延長でも1400m連勝時のパフォーマンスを再現できるか
- シンフォーエバーのAI2位評価は復調の兆しなのか、モデルの過大評価なのか
- アンパドゥは人気ほど抜けた存在なのか、それともAIが示すように混戦なのか
- シュガークンは大幅な距離短縮に対応できるのか
- アドマイヤズーム、トロヴァトーレ、エコロアルバという実績馬をAI上位から外した判断がどう出るか
特にシンフォーエバーとシュガークンは重要です。
結果が悪ければ、
「近走不振馬」
「大幅距離変更馬」
の基礎能力をAIが必要以上に高く評価している可能性があります。
反対に好走すれば、人間が近走着順や距離イメージで評価を落としすぎていたことになります。
こうした結果を蓄積することで、単純な的中率とは別にモデルの癖が見えてきます。
まとめ
2026年富士SのAI指数は、かなり特徴的な結果になりました。
1位はミトノオルフェでp_win=15.39%。
近2走の1400mを連勝している一方、今回は6カ月半ぶりで1600mへの距離延長。予想11番人気という市場評価とは大きな差があります。
さらにAI2位シンフォーエバーは14番人気想定。
近3走はいずれも二桁着順だけに、今回最大の「AIと人間の評価差」です。
一方、前走関屋記念を圧勝したアンパドゥはAI3位。マイル重賞で安定しているファンダムが4位、中長距離路線から一気に1600mへ短縮するシュガークンが5位となりました。
そしてアドマイヤズーム、トロヴァトーレ、エコロアルバという人気・実績馬はAI上位5頭外。
今回の富士Sは、
「AIが人気薄を当てられるか」だけを見るレースではありません。
むしろ、
近走実績、距離適性、休み明け、展開、そして基礎能力のどれをAIが強く評価しているのか
を確認する絶好の機会です。
AI1位が勝つのか。
人気馬が順当に力を示すのか。
それとも今回の指数が示すように、一般的な馬柱評価とは違う結果になるのか。
結果だけで「当たり・外れ」を判断せず、人気との乖離、着差、位置取りまで含めて振り返りたいレースです。


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