2026年9月5日の京成杯オータムハンデは、10番人気のピコローズが勝利しました。
2着には5番人気エコロブルーム、3着には8番人気ドロップオブライト。3連単は33万4,980円と、秋の中山開幕週らしい難しい結果になりました。
そして今回、競馬AIの予想はかなり厳しい結果です。
事前のAI指数ではクルゼイロドスルを1位、メタルスピードを2位、テレサを3位に評価。いずれも人気薄だったため、「市場とAIの評価が大きく違うレース」として注目していました。
しかし結果は、
クルゼイロドスル10着、メタルスピード15着、テレサ13着。
4位ファンダムが4着まで追い上げましたが、AI上位5頭から馬券圏内に入った馬はいませんでした。
ただ、今回の結果には少し興味深い部分もあります。
AI1位の勝率が9.50%しかなく、事前から「特定の1頭を強く信頼できるレースではない」と判断していました。そして実際、10番人気→5番人気→8番人気という決着。
AIは混戦であること自体は捉えていた一方、どの人気薄が浮上するのかを取り違えたレースだったのかもしれません。
今回はその点を中心に振り返ってみます。
京成杯AHの結果
まずは上位結果を整理します。
| 着順 | 馬番 | 馬名 | 人気 | 単勝オッズ | 上がり |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 8 | ピコローズ | 10人気 | 19.6倍 | 33.6 |
| 2 | 7 | エコロブルーム | 5人気 | 8.4倍 | 33.9 |
| 3 | 3 | ドロップオブライト | 8人気 | 14.1倍 | 34.2 |
| 4 | 6 | ファンダム | 4人気 | 7.2倍 | 33.5 |
| 5 | 5 | サイルーン | 11人気 | 30.5倍 | 33.8 |
単勝は1,960円。
馬連7-8が8,920円、3連複3-7-8が42,840円、3連単8→7→3は334,980円となりました。
上位5頭を見るだけでも、4番人気ファンダム以外はすべて5番人気以下です。
1番人気フォルテアンジェロは6着、2番人気レザベーションは11着、3番人気ヴァルキリーバースは16着。
結果だけを見れば、人気馬を素直に信頼するレースではありませんでした。
これは事前のAI指数が示していた「勝率の分散」とはある程度一致します。
ただし、問題はその先です。
AI指数上位5頭の結果
事前のAI指数は以下でした。
| AI順位 | 馬名 | p_win | 最終人気 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | クルゼイロドスル | 9.50% | 13人気 | 10着 |
| 2 | メタルスピード | 9.09% | 12人気 | 15着 |
| 3 | テレサ | 8.34% | 14人気 | 13着 |
| 4 | ファンダム | 7.71% | 4人気 | 4着 |
| 5 | ディールメーカー | 7.49% | 7人気 | 8着 |
馬券圏内はゼロ。
かなり明確に外れています。
特に事前記事では、クルゼイロドスル、メタルスピード、テレサについて「市場よりAIがかなり高く評価している人気薄」として取り上げました。
最終的にもクルゼイロドスル71.7倍、メタルスピード34.3倍、テレサ76.7倍。
人気が急上昇したわけでもありません。
つまり今回については、
市場が見落としていた穴馬をAIが発見した
という結果ではなく、
AIが高く評価した人気薄には、市場が低く評価していたなりの理由があった
と考える必要があります。
ここは都合よく解釈せず、モデル側の課題として見ておきたいところです。
レースは前半34秒3、極端な前崩れではなかった
ラップは、
12.3-10.8-11.2-11.5-11.7-11.5-11.5-11.5。
前半600mは34秒3、1000m通過は57秒5。
JRAの表示ではミドルペースでした。
興味深いのは、後半に極端な失速区間がないことです。
800m以降は、
11.7-11.5-11.5-11.5-11.5
と、ほぼ一定のラップを刻んでいます。
つまり今回は、前が完全に止まって差し馬だけが飛んできたレースではありません。
実際、2着エコロブルーム、3着ドロップオブライトは比較的前目。
一方で勝ったピコローズは中団付近から進み、直線で33秒6の脚を使っています。
4着ファンダムも中団から上がり33秒5。
求められたのは単純な「前」「後ろ」というより、
道中で極端に脚を使わず、直線まで余力を残したまま長く速い脚を維持できること
だったように見えます。
この展開を踏まえると、AI上位馬の敗因も少し見えてきます。
AI1位クルゼイロドスルは10着
AI1位だったクルゼイロドスルは10着。
最終オッズ71.7倍、13番人気でした。
事前に注目した理由は、近走の着順以上にマイルでの着差や上がりが悪くなかったことです。
マイラーズCでは14着ながら0.5秒差で上がり32秒9。睦月Sでも0.4秒差。
「着順ほど能力が落ちていないのではないか」というのがAI評価を考えるうえで一つの仮説でした。
しかし今回は1分32秒7で10着。
勝ち馬から0.7秒差です。
上がり33秒8自体は決して悪くありません。
ただ、勝ったピコローズが33秒6、4着ファンダムが33秒5。
今回の展開では「速い上がりを使える」だけでは足りませんでした。
中山芝1600mでは、直線までにどこにいるかも重要です。
クルゼイロドスルは後方寄り。
最後に脚を使っても、前には同程度の末脚を残している馬がいました。
これはモデルを考えるうえで重要なポイントです。
過去の上がり順位や末脚能力を評価していても、
その脚を今回のコースでどの位置から使えるのか
まで評価できていなければ、実戦での期待値とはズレる可能性があります。
AI2位メタルスピードは展開面のリスクが出た
AI2位メタルスピードは15着。
こちらはかなり厳しい結果でした。
事前には今年3月の幕張Sで中山芝1600mを1分32秒3で逃げ切っていることを評価材料として挙げました。
しかも今回と同じ55kg。
条件だけを見ると確かに魅力がありました。
今回もメタルスピードは先手を取りました。
しかし最後は1分33秒4。
勝ち馬から1.4秒離されています。
今回のポイントは、「中山マイルを逃げ切った実績がある」という情報をどこまで一般化してよいかでしょう。
過去に同じコースで逃げ切っていても、そのときと今回では相手も違えば、前半のプレッシャーも違います。
さらに近3走は、
関屋記念14着、しらさぎS10着、ダービー卿CT9着。
事前記事でも近況の悪さは認識していましたが、AIは過去の中山実績を含めて高く評価しました。
結果を見る限り、
コース適性の高さより、現在のパフォーマンス水準をもっと重く見る必要があった
可能性があります。
人気薄を拾うときほど、「昔走れていた」という情報に引っ張られていないか確認する必要がありそうです。
AI3位テレサは距離短縮が機能せず
テレサは13着。
最終76.7倍、14番人気でした。
こちらは今回、1800~2000m中心のローテーションから1600mへ距離を短縮。
事前記事でも最大の不安材料として挙げていました。
結果的には、その不安がそのまま表面化した形です。
道中は比較的前目につけましたが、最後は上がり35秒0。
直線で伸び切れませんでした。
牝馬重賞では、
ローズS2着、小倉牝馬S4着、福島牝馬S5着
と実績がありました。
そのため能力不足というより、
今回の1600mで要求されたスピードへの適応が難しかった
と見る方が自然かもしれません。
AIが距離変更に対してどの程度ペナルティを与えているかは、今後確認したいところです。
特に1800~2000mで高いパフォーマンスを示した馬が1600mへ短縮すると、基礎能力の高さから指数が上がりやすい可能性があります。
しかし実際の競馬では、追走速度が変わります。
この部分は特徴量として分けて考える価値がありそうです。
AI4位ファンダムは唯一見せ場を作った
AI上位5頭で最も走ったのはファンダムでした。
4着。
勝ち馬から0.2秒差です。
上がり33秒5はメンバー最速。
事前にも、
- 前走しらさぎSで0.1秒差
- 中山芝1600mのニューイヤーSでも0.1秒差
- 近走1400m、1200mから1600mへ戻る
という点から、上位5頭の中では最も買いやすい存在と考えていました。
結果を見ると、この評価は大きく間違っていなかったと思います。
惜しかったのは位置取り。
勝ったピコローズより後ろではありませんでしたが、直線入口ではまだ前との差がありました。
そこから33秒5で追い上げて4着。
着差はハナ。
馬券圏内まで本当にあと少しでした。
ただし今回の目的は「惜しかった」と言うことではありません。
重要なのは、
AI順位は4位だったものの、馬柱との整合性という意味では上位3頭以上に信頼できる材料が揃っていた
ことです。
これは今後の使い方に関係します。
AI順位をそのまま馬券順位として使うのではなく、
AI指数+コース適性+近走内容
を重ねて見ることで、より精度を上げられる可能性があります。
AI5位ディールメーカーは8着
ディールメーカーは8着。
最終11.9倍、7番人気でした。
54kg、中山芝1600m実績、ラジオNIKKEI賞2着。
条件面ではかなり魅力がありました。
ただ、今回は好位から進めたものの最後まで伸び切れず。
AI5位としては大きく崩れていませんが、馬券圏内には届きませんでした。
前走は福島芝1800mを逃げて2着。
今回は中山芝1600m。
距離だけでなく、レース中のスピード水準も上がっています。
こちらもテレサほど極端ではありませんが、「近走実績を別条件へどの程度転用できるか」という問題が残りました。
最大の反省はピコローズを拾えなかったこと
今回最も重要なのは、AI上位馬の敗因よりも勝ち馬ピコローズです。
AI上位5頭には入っていませんでした。
しかし振り返って馬柱を見ると、まったく買えない馬ではありません。
前走の新潟日報賞では芝1400mを勝利。
さらに今年3月には今回と同じ中山芝1600mの幕張Sへ出走し、メタルスピードから0.3秒差でした。
そして今回は53kg。
最終オッズ19.6倍、10番人気。
メタルスピードをAI2位まで評価していたのであれば、同じ中山マイルで0.3秒差だったピコローズをもう少し評価できなかったのか。
ここはかなり考えさせられます。
もちろん幕張Sだけで両馬を比較することはできません。
しかしその後、
メタルスピードは重賞で苦戦。
ピコローズは3勝クラスを勝って今回へ。
近況まで含めれば、むしろピコローズの方に上昇材料がありました。
それでもAI順位では逆転できなかった。
ここから一つ仮説が立ちます。
モデルが「過去に出した高いパフォーマンス」を強く残しすぎて、「直近で能力を更新してきた馬」を十分評価できていない可能性です。
これは競馬AIではかなり重要な問題だと思います。
競走馬の能力は固定ではありません。
特に3歳、4歳馬は短期間で能力が変化します。
過去5走の平均値だけを見れば、以前から重賞を走っている馬が有利になりやすい。
しかし今回のピコローズのように、条件戦を勝ち上がりながら能力を伸ばしてきた馬は、その成長速度まで見なければ拾えません。
「穴馬を探せていた」のではなく「穴馬が多いレースだった」
今回の予想で最も注意したいのはここです。
事前のAI上位は、
クルゼイロドスル13番人気、メタルスピード12番人気、テレサ14番人気。
そして実際の勝ち馬は10番人気ピコローズ。
結果だけを見ると、
「AIは穴が来るレースだと分かっていた」
と言いたくなります。
ただ、それは少し都合のいい解釈です。
AIが評価した穴馬は来ていません。
来たのは別の穴馬です。
したがって今回の評価は、
混戦度は捉えられていたが、穴馬選びには失敗した
とするのが適切だと思います。
これはむしろ有益な結果です。
事前のAI1位クルゼイロドスルのp_winは9.50%。
2位メタルスピード9.09%。
3位テレサ8.34%。
ほとんど差がありません。
上位5頭合計でも42.13%でした。
つまり指数順位そのものに強い確信がなかったレースです。
こういうレースで、
「1位だからクルゼイロドスル」
と買うのは、AIの数字を正しく使えていない可能性があります。
むしろ、
AI1位が10%未満で上位差も小さいなら、順位よりオッズや馬柱との整合性を重視する
というルールを考えてもよさそうです。
今回から考えたい改善ポイント
今回の結果から、今後検証したい項目を整理すると次のようになります。
| 検証テーマ | 今回の例 | 考えたいこと |
|---|---|---|
| 直近成績の重み | メタルスピード | 過去の好走を長く評価しすぎていないか |
| 能力上昇の検出 | ピコローズ | 条件戦勝ち上がり馬の成長を拾えているか |
| 距離変更 | テレサ | 中距離実績をマイルへ転用しすぎていないか |
| 位置取り | クルゼイロドスル | 上がり能力だけでなく、その脚を使う位置を評価できているか |
| 混戦時の順位解釈 | 上位5頭 | p_win差が小さいとき順位を過信していないか |
特に気になるのは「能力の時系列」です。
競馬AIでは過去の成績を特徴量として入れれば入れるほど、情報量自体は増えます。
しかし古い好走も現在と同じ価値で残ってしまえば、現在の能力評価を歪める可能性があります。
一方で、直近1走だけを重視すれば偶然の好走に振り回されます。
ピコローズとメタルスピードの評価差は、この問題を考える良いサンプルになりそうです。
例えば今後、
「3走前→2走前→前走でパフォーマンスが上昇しているか」
という能力トレンドを特徴量にできないか。
単純な前走着順ではなく、着差、上がり、クラス、斤量などから直近の能力推移を見る。
ここは検証してみたいと思います。
それでもファンダム4着は一つのヒントになる
今回、AI予想全体としては失敗です。
ただし、ファンダムの4着は今後の使い方を考える材料になりました。
AI順位では4位。
しかし馬柱まで合わせると、
中山マイル実績あり、前走マイル重賞0.1秒差、1600mへの条件好転。
AI上位の中では最も説明しやすい馬でした。
そして実際に上がり最速で4着。
これは、
AI順位そのものより、「なぜAIが評価しているのかを人間側でも説明できる馬」の方が安定する可能性
を示唆します。
もちろん1レースだけでは何も結論は出せません。
ただ、今後の予想記事でも、
AI順位
+人気との乖離
+馬柱から確認できる根拠
の3つを分けて考える価値はありそうです。
AI1位だから本命。
人気薄だから期待値がある。
それだけでは足りません。
今回の京成杯AHは、そのことをかなり分かりやすく教えてくれたレースでした。
まとめ
2026年の京成杯オータムハンデは、10番人気ピコローズが勝利しました。
2着5番人気エコロブルーム、3着8番人気ドロップオブライト。
3連単は334,980円。
人気上位馬が崩れる波乱となりました。
一方、事前のAI指数では、
1位クルゼイロドスル10着、2位メタルスピード15着、3位テレサ13着、4位ファンダム4着、5位ディールメーカー8着。
上位5頭から馬券圏内馬を出すことができませんでした。
AI1位が9.50%しかなく、勝率がかなり分散していたため、「混戦」という見立て自体は結果と大きく矛盾しません。
ただし、そこでAIが選んだ人気薄と、実際に走った人気薄は別でした。
ここは明確な反省点です。
特にピコローズは、同じ中山芝1600mでメタルスピードと0.3秒差の実績があり、その後3勝クラスを勝利。53kgで今回を迎えていました。
AIがメタルスピードを2位まで評価しながら、ピコローズを上位5頭へ入れられなかったことは、モデルの「現在の能力」や「成長」を評価する方法を考える材料になりそうです。
また、クルゼイロドスルのような末脚型では、単純な上がり性能だけでなく、コース形態と位置取りまで考える必要があります。
そしてテレサについては、異なる距離で示した能力をそのままマイルへ転用することの難しさも見えました。
今回の結果から一番持ち帰りたいのは、
「AIが穴馬を高く評価した」と「AIが期待値のある穴馬を発見した」は別物
ということです。
順位だけではなく、絶対的なp_win、上位との差、近走の能力推移、コース適性、そしてオッズ。
これらを組み合わせながら、次のレースでも検証を続けていきたいと思います。


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