競馬民の戯言「次もルメールでしょ」について考えてみる

次もルメールでしょと慢心する様子 競馬データの基礎

ぼくはまだ、競馬を完全には理解していません。

ただ、競馬を見ていると、レース結果を確認する前から聞こえてきそうな言葉があります。

「次もルメールでしょ」

前のレースでルメール騎手が勝った。
次のレースでも有力馬に騎乗している。
単勝オッズを見ると、しっかり上位人気。

そんな状況になると、深く考える前に結論が出ます。

「今日、ルメール乗れてるな」
「次も馬が強そう」
「これはルメールでいいでしょ」

そして単勝を買います。

結果、また勝てば、

「ほら、やっぱりルメール」

となります。

一方で負けた場合は、

「さすがに連続では来ないか」

で終わります。

どちらに転んでも、ルメール騎手の存在感だけが残ります。

今回は、競馬民の戯言「次もルメールでしょ」について、少し真面目に考えてみます。

ルメール騎手を買いたくなるのは自然

最初に確認しておきたいのは、ルメール騎手を高く評価すること自体は不自然ではないということです。

競馬では、馬の能力だけでなく騎手の判断も結果に影響します。

  • スタート後にどの位置を取るか
  • 馬を折り合わせられるか
  • 内外のどちらを選ぶか
  • いつ仕掛けるか
  • 馬群をどう抜けるか
  • 馬の能力をどこまで引き出せるか

こうした要素を考えれば、実績のある騎手を評価する理由はあります。

また、有力馬の陣営が信頼できる騎手へ騎乗を依頼することも多いため、ルメール騎手の騎乗馬には、もともと能力の高い馬が集まりやすくなります。

そのため、

「ルメール騎手の馬はよく来る」

という感覚そのものは、完全な思い込みとは言えません。

問題は、その次です。

よく来ることと、そのオッズで買う価値があることは同じではありません。

「ルメールだから来た」のか「強い馬に乗っていた」のか

強い子供

ルメール騎手が勝ったレースを見ると、

「やはり騎手が上手い」

と感じます。

もちろん、騎手の判断が勝利に貢献した場面もあるでしょう。

しかし、同時に考えたいのは、もともと強い馬に乗っていた可能性です。

例えば、次のような馬だったとします。

  • 前走を圧勝
  • クラス実績上位
  • 調教も良好
  • コース適性あり
  • 1番人気
  • そこへルメール騎手が騎乗

この馬が勝ったとき、

「ルメールだから勝った」

と説明したくなります。

しかし、別の上位騎手が乗っていても、好走する可能性は高かったかもしれません。

騎手の能力と騎乗馬の能力は、きれいに分けられません。

好成績の騎手ほど強い馬に乗る機会が多く、強い馬に乗るほど成績も上がります。

そのため、単純な勝率だけを見て、

「この騎手だから買えばよい」

と判断するのは難しいところがあります。

連続で勝つと「今日の流れ」を感じる

JRAの横断幕

ルメール騎手が午前中に2勝すると、次の騎乗馬が急に強く見えてきます。

「今日は馬場が読めている」
「今日のルメールは乗れている」
「この流れなら次も来る」

確かに、騎手が当日の馬場状態や有利な進路を把握している可能性はあります。

一度レースを経験したことで、次の騎乗へ情報を生かせることもあるでしょう。

ただし、前のレースで勝ったこと自体が、次の馬の能力を上げるわけではありません。

次のレースでは、

  • 騎乗馬
  • 距離
  • コース
  • 枠順
  • 相手関係
  • ペース
  • 馬場適性

が変わります。

前走で完璧な騎乗をしても、次の馬が能力不足なら勝てません。

それでも人間は、連続した出来事に流れを感じます。

一勝すれば、次もありそう。
二勝すれば、もう止まらなさそう。
三勝すれば、残りの騎乗馬まで全部買いたくなる。

しかし、騎手の連勝は、次のレースの勝利を約束するものではありません。

「次もルメール」が当たりやすく見える理由

この言葉が強く残る理由の一つは、当たったときの納得感です。

ルメール騎手の人気馬を買って勝てば、

「やっぱりそうだった」

と思えます。

予想が簡単で、結果にも納得できます。

反対に、ルメール騎手を消して勝たれると、

「素直に買っておけばよかった」

と強く後悔します。

この後悔を避けるため、次からは押さえたくなります。

一方、ルメール騎手の人気馬を買って負けた場合はどうでしょうか。

「馬が走らなかった」
「展開が向かなかった」
「人気しすぎだった」

と理由をつけやすくなります。

つまり、

  • 買って勝つ→予想成功
  • 買わずに勝たれる→強い後悔
  • 買って負ける→仕方がない

という形になりやすいのです。

これでは、ルメール騎手を買った成功だけが記憶に残ります。

実際にどれだけ利益が出ているかは、別に記録しなければ分かりません。

人気騎手はオッズも安くなりやすい

人気騎手が有力馬に乗れば、多くの人が買います。

新聞の印も集まり、オッズも下がります。

例えば、騎手を考慮しなければ単勝4倍程度になりそうな馬が、ルメール騎手への乗り替わりによって2.8倍まで売れることもあるかもしれません。

騎手によって勝つ確率が上がったとしても、オッズの低下がそれ以上なら、馬券としての魅力は小さくなります。

仮に、ある馬の勝率を30%と考えた場合を比較します。

単勝オッズ単純期待値
4.0倍1.20
3.0倍0.90
2.5倍0.75

同じ馬、同じ勝率評価でも、オッズによって購入価値は変わります。

ルメール騎手だから勝つ可能性が高い。

それは買い材料です。

しかし、多くの人も同じことを考えていれば、その評価はすでにオッズへ反映されています。

AIメモとして整理するなら、

きーき
きーき

有名騎手は好走確率を高めるかもしれない。
しかし、同時にオッズも下げる。

ということになります。

「ルメールなら大丈夫」という安心を買っている

人気騎手の馬券には、価格以外の魅力もあります。

それが安心感です。

無名の若手騎手が乗る人気薄を買うと、

「ちゃんと位置を取れるだろうか」
「仕掛けが遅れないだろうか」

と不安になります。

一方、ルメール騎手なら、

「負けても騎乗には納得できそう」

と感じます。

つまり、馬券の一部として、騎手への信頼も買っています。

これは競馬を楽しむうえでは自然な感覚です。

しかし、安心感にお金を払うほど、オッズは低くなります。

競馬で得られる安心と、期待値は必ずしも一致しません。

むしろ、多くの人が安心して買える馬ほど、市場では割安になりにくいとも考えられます。

ルメール騎手を買うべき場面

競馬予想する人

では、ルメール騎手は買わない方がよいのでしょうか。

もちろん、そのような話ではありません。

騎手評価も含めて、その馬の勝つ確率が市場より高いと考えられるなら、十分に購入候補になります。

例えば、

  • 馬の能力が上位
  • 距離やコースが合う
  • 展開も向きそう
  • ルメール騎手への乗り替わりがプラス
  • それでもオッズが十分に残っている

というケースです。

大切なのは、

「ルメール騎手だから買う」

ではなく、

ルメール騎手の騎乗を含めて、現在のオッズが妥当か

を考えることです。

騎手は購入理由の一部であって、すべてではありません。

危険な「次もルメール」

次のような場合は、騎手名だけで買おうとしている可能性があります。

前のレースで勝ったから買う

次のレースとは条件が異なります。

連勝中という事実だけで、勝率を大幅に上げない方がよさそうです。

馬の名前や成績をほとんど見ていない

騎手欄を見た時点で購入を決めています。

これは馬を予想しているというより、騎手の追っかけ馬券に近くなります。

低オッズでも安心だから買う

当たりやすそうに見えても、払戻しが価格に見合うとは限りません。

ルメール騎手を外して来られるのが怖い

購入理由が期待値ではなく、後悔を避けることになっています。

相手馬に必ず入れる

三連系でルメール騎手の馬をすべて押さえると、点数が増えます。

人気馬なら配当も下がりやすく、的中しても利益が残らない可能性があります。

「ルメールだから消す」も同じくらい危険

人気になりすぎることを嫌い、

「ルメール騎手は過剰人気だから買わない」

と決める人もいます。

しかし、これも騎手名だけで判断している点では同じです。

人気が集中していても、それ以上に勝つ確率が高ければ購入価値があるかもしれません。

また、単勝では安くても、別の券種や組み合わせには価値が残っている可能性があります。

大切なのは、

  • 有名騎手だから買う
  • 有名騎手だから消す

という二択ではありません。

馬の能力、レース条件、騎手、オッズを合わせて判断することです。

「ルメール人気」という理由だけで逆張りするのも、人気へ素直に乗るのと同じくらい単純な判断です。

騎手成績を見るなら条件を分けたい

騎手の得意不得意を調べる場合、全レースの勝率だけでは不十分です。

例えば、次のような条件で分ける必要があります。

  • 競馬場
  • 芝・ダート
  • 距離
  • 人気帯
  • オッズ帯
  • 乗り替わり
  • 新馬戦
  • 重賞
  • 逃げ・先行・差し
  • 厩舎との組み合わせ

ルメール騎手が全体として好成績でも、すべての条件で同じ回収率になるわけではありません。

特に確認したいのは、人気別・オッズ別の成績です。

条件確認したいこと
1番人気勝率に対してオッズは妥当か
単勝1倍台的中率が高くても回収率はどうか
2~3番人気人気上位との比較で狙い目があるか
中穴人気騎手人気だけで売れていないか
乗り替わり実際に成績が改善しているか

「よく勝つ騎手」という印象だけでなく、その成績をどの価格で買っていたのかを見る必要があります。

AIは騎手をどう評価するべきか

競馬新聞見る人

競馬AIに騎手情報を入れる場合も、同じ問題があります。

単純に騎手別勝率を特徴量にすると、強い馬に多く乗る騎手が高く評価されます。

しかし、その勝率が、

  • 騎手の技術
  • 騎乗馬の能力
  • 厩舎との関係
  • 人気馬への騎乗数

のどれによるものかは分かりません。

そのため、AIで騎手を扱うなら、

  • 人気帯別の成績
  • 同程度の能力馬に乗った場合の成績
  • 乗り替わり前後
  • 競馬場・距離別成績
  • 脚質別成績
  • 厩舎との組み合わせ

などに分けた方がよさそうです。

また、騎手情報を入れたことでp_winの的中精度が上がっても、ルメール騎手の馬ばかり高く評価し、オッズまで低くなっていれば、回収率が上がるとは限りません。

AIの目的が的中率なのか、期待値の発見なのかによっても、騎手データの使い方は変わります。

「次もルメール」を検証する方法

本当にルメール騎手の連勝後を買う価値があるのか、記録してみる方法があります。

例えば、次のような項目を残します。

記録項目内容
当日勝利数そのレースまでに何勝していたか
対象馬次の騎乗馬
人気・オッズ市場評価
AI評価p_winや指数順位
購入理由騎手、能力、適性など
結果着順
単勝収支購入した場合の成績
通常時との比較連勝前後で差があるか

これを一定期間集計すれば、

  • 当日1勝後
  • 当日2勝後
  • 連勝直後
  • その日未勝利時

で成績に違いがあるかを確認できます。

おそらく単発の印象だけでは分からない結果になるでしょう。

少なくとも、

「今日は乗れているから」

という感覚を、検証可能な形へ変えられます。

「次もルメール」が正しいこともある

ここまで慎重に書いてきましたが、実際に次も勝つことはあります。

有力馬に乗り、好位置を取り、直線で抜け出す。

そのとき競馬ファンは言います。

「だから言ったでしょ。次もルメールだったじゃん」

これは間違いではありません。

馬券も的中しています。

ただし、一度当たったことと、その買い方が長期的に有効であることは別です。

次も、その次も買い続けたときに、購入金額以上の払戻しが残るのか。

そこまで確認して初めて、「次もルメール」が馬券戦略になります。

確認しなければ、単に当たりやすくて安心できる人気馬を買っているだけかもしれません。

まとめ

競馬民の戯言「次もルメールでしょ」。

この言葉が生まれるのは、ルメール騎手への信頼だけが理由ではありません。

  • 有力馬への騎乗が多い
  • 前のレースで勝っている
  • 人気馬なので安心感がある
  • 買わずに勝たれると後悔が大きい
  • 的中した記憶が残りやすい
  • 負けても納得しやすい

といった心理が重なっています。

ルメール騎手を高く評価すること自体は自然です。

ただし、馬券を買うときは、

  • 騎乗馬の能力は十分か
  • レース条件は合うか
  • 前走の勝利と今回を混同していないか
  • 騎手人気でオッズが下がりすぎていないか
  • 買わない後悔を避けるためだけに押さえていないか
  • 同じ条件を長期間買って利益が残るか

を確認する必要があります。

ぼくはまだ、競馬を理解している途中です。

ルメール騎手が連勝し、次も1番人気の馬に乗っていれば、やはり気になります。

「今日なら、また来るのではないか」

と思います。

そして実際に勝たれると、

「やっぱり次もルメールだった」

と納得します。

しかし、競馬で考えるべきなのは、その馬が来るかどうかだけではありません。

多くの人が「次もルメール」と考えている価格で、それでも買う価値が残っているのか。

「次もルメールでしょ」は、予想の結論ではありません。

みんなが同じ結論に近づいているときこそ、オッズを確認する合図なのかもしれません。

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