2026年10月11日の東京11Rは、牝馬限定のGII・アイルランドT。東京芝1800m、16頭立てで行われます。競馬新聞では「上位拮抗」とされ、カムニャック、クイーンズウォーク、ラヴァンダなど実績馬が中心の評価です。馬柱の展開予想はSペースとなっており、逃げ・先行勢の位置取りも重要になりそうです。
一方、今回のAI指数は少し違った景色を示しました。
AI1位は1番ニシノティアモ。しかもp_win=0.1133で、2位以下との差をある程度つけています。そして2位ミラビリスマジック、3位カネラフィーナ、4位ムイ、5位ジョスランという並び。
特に興味深いのは、上位人気が予想されるカムニャック、クイーンズウォーク、ラヴァンダがAI上位5頭に入っていない点です。
今回は「AIが人気馬をどう疑い、どこに別の可能性を見ているのか」という視点から、馬柱と指数を組み合わせて見ていきます。
アイルランドTのAI指数
まずはAI指数上位5頭です。
| AI順位 | 馬番 | 馬名 | p_win | 参考人気 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 1 | ニシノティアモ | 0.1133 | 6人気 |
| 2位 | 7 | ミラビリスマジック | 0.0688 | 13人気 |
| 3位 | 5 | カネラフィーナ | 0.0624 | 9人気 |
| 4位 | 6 | ムイ | 0.0564 | 16人気 |
| 5位 | 15 | ジョスラン | 0.0537 | 4人気 |
※人気・オッズは競馬新聞掲載時点のものです。
今回まず目につくのは、指数1位ニシノティアモと2位以下の差です。
0.1133に対して2位は0.0688。
絶対的に突出した数値とまでは言えませんが、少なくとも今回のモデルはニシノティアモを一段高く評価しています。
その一方で、2~5位はかなり接近。
つまりAIの見立てとしては、
「ニシノティアモが一歩リード。その後ろは混戦」
という構図に近そうです。
そして市場人気とのズレまで考えると、ミラビリスマジックとムイがかなり異質な存在になっています。
AI1位ニシノティアモ|GIII勝ち+GI6着でも6番人気
AI指数1位は1番ニシノティアモです。
p_winは0.1133。
馬柱を見ると、近走成績だけなら十分に重賞上位クラスです。
2025年福島記念を勝ち、今年の中山牝馬Sでは0.2秒差5着。その後ヴィクトリアマイルでも0.6秒差6着でした。
前走の府中牝馬Sは10着でしたが、稍重の東京芝1800mで1.5秒差。ここだけを強く評価すると印象は悪くなります。
しかし、それ以前の内容を並べると、
- 福島記念1着
- 中山牝馬S5着
- ヴィクトリアマイル6着
と、重賞で一定水準以上の走りを続けています。
今回のポイントは休み明けでしょう。
3カ月半ぶりですが、鉄砲成績は[2.0.0.2]。
休養明けそのものを大きく割り引く必要はなさそうです。
さらに今回は1枠1番。
前走のように中団より後ろから運ぶ形だけでなく、ヴィクトリアマイルでは2番手まで行っています。
東京芝1800mでスロー想定なら、内枠から位置を取れること自体がプラスに働く可能性があります。
AIが評価しているのも、単純な前走着順ではなく、
重賞実績+東京適性+位置取りの自由度
あたりなのかもしれません。
6番人気前後なら、今回のAI上位馬の中では市場とのズレも比較的大きい一頭です。
AI2位ミラビリスマジック|13番人気は低すぎるのか
今回もっとも興味深いのが7番ミラビリスマジックです。
AI指数2位のp_win=0.0688。
一方、競馬新聞では59.7倍の13番人気。
AI順位だけを見るなら、かなり強烈な乖離です。
前走は阿武隈Sを勝利。
福島芝1800mで7番手付近から差し切り、3勝クラスを突破しました。直線で外から伸びており、内容としても単なる展開利だけの勝利ではありません。
もちろん今回は一気の重賞挑戦。
相手関係は大幅に強化されます。
ここには注意が必要です。
ただし近走を見ると、
- 阿武隈S 1着
- 弥彦S 5着・0.2秒差
- マレーシアC 9着
- 雲雀S 13着
と、着順の振れ幅が大きい一方、1800mでは比較的安定しています。
東京でも過去に分倍河原Sで0.3秒差。
「重賞実績がないから弱い」と単純には扱いにくいタイプです。
AIが2位まで評価している理由として考えやすいのは、近走の1800m適性でしょう。
一方で今回の馬柱では「先」タイプ。
スロー想定なら極端に後方に置かれず、7~8番手程度で流れに乗れれば面白い位置になります。
13番人気相当まで評価を落とすべきなのか。
今回のAI予想では、この馬が最も注目したい「市場とのズレ」です。
AI3位カネラフィーナ|東京1800mは明確なプラス材料
3位は5番カネラフィーナ。
p_win=0.0624。
人気は9番人気前後ですが、馬柱を見ると近走内容は決して悪くありません。
特に注目したいのが6月のジューンS。
東京芝1800mを1分46秒0で勝利しています。
3番手から運び、上がり33.8秒でタシットを差し切りました。
その後の中京記念は8着ですが、勝ったラヴァンダから0.5秒差。
着順ほど大きく負けてはいません。
さらに、
- 福島牝馬S 7着・0.4秒差
- 中山金杯4着・0.3秒差
- 新潟牝馬S1着
と、オープン・重賞でもある程度安定しています。
東京芝1800mへの適性という意味では、AI上位馬の中でも比較的根拠を説明しやすい一頭です。
今回はB着用。
競馬新聞側も「力をつけており得意条件とB着用で」と評価しています。
AI3位。
ここはAIだけが拾っている人気薄というより、人間側から見てもある程度評価できるタイプです。
問題は展開。
前に行きたい馬が複数いるとはいえ、新聞の想定はSペース。
3~6番手程度につけられるなら問題ありませんが、差しに構えて位置を下げすぎると届かない可能性はあります。
AI4位ムイ|16番人気評価をAIは拒否
今回最大の違和感枠が6番ムイです。
AI4位、p_win=0.0564。
ところが市場では113倍台の16番人気。
普通に馬柱だけを見ると、この人気になる理由はよく分かります。
直近は、
- エニフS 12着
- 安土城S 15着
- モルガナイトS 10着
- 淀短距離S 9着
と、結果が出ていません。
しかも前走はダート1400mで12着。
近走成績だけなら、積極的に評価しづらい馬です。
それでもAIは4位。
ここは「なぜ?」を観察する価値があります。
考えられるのは距離延長と条件替わり。
近走は1200~1400m中心でした。
今回は一気に芝1800m。
通常なら距離延長は未知数ですが、AIモデルが血統や過去レース内容、ラップ適性などから「短距離よりむしろ今回の条件で上がる」と見ている可能性があります。
ただしこれはかなり大胆な仮説です。
馬柱上に1800mでの明確な好走実績がないため、人間側から根拠を補強しにくい。
その意味では、
「AIを信じるべき馬」というより、「AIがなぜ高く出したのか観察したい馬」
という位置づけが適切でしょう。
今回好走するようなら、今後の特徴量分析でかなり面白いサンプルになります。
逆に大敗なら、モデルが短距離実績などを過大評価している可能性もあります。
AI5位ジョスラン|実績馬の中ではAIも素直に評価
AI5位は15番ジョスラン。
p_win=0.0537。
こちらは4番人気前後で、AI評価と市場評価が比較的近い馬です。
実績は十分。
今年1月の小倉牝馬Sを勝ち、昨年秋華賞4着。さらに紫苑Sでも2着でした。
前走ヴィクトリアマイルは8着ですが、勝ち馬から0.7秒差。大きく崩れたわけではありません。
今回5カ月ぶりですが、鉄砲成績は[1.1.0.2]。
休み明けも極端なマイナスではなさそうです。
ルメール騎手への乗り替わりも含め、市場が一定の評価をするのは自然でしょう。
ただ、AI指数では5位。
上位人気候補としては「突出している」とは見ていません。
今回AIが面白いのはここです。
ジョスランのように実績が明確な馬でも上位には置きつつ、それ以上にニシノティアモやミラビリスマジックを評価しています。
1番人気カムニャックがAI上位5頭外
今回の大きな論点は16番カムニャックです。
競馬新聞では3.3倍の1番人気。
昨年のオークス馬で、今年はヴィクトリアマイル2着、阪神牝馬S2着。
新聞でも中心視されており、「地力上位で休み明けも素軽さが目立ち好勝負必至」と評価されています。
実績だけなら今回トップクラスです。
それでもAI上位5頭には入りませんでした。
ここはかなり重要です。
カムニャック自身を「弱い」と評価しているというより、
市場ほど圧倒的ではない
という可能性があります。
1800mへの対応自体は昨年ローズS勝ちがあり問題なし。
東京もオークス勝ちがあり、コース適性を疑う必要もありません。
弱点を探すなら、今回は5カ月休養明けで大外16番。
さらに新聞想定がスローペースなら、差しタイプのカムニャックが外からどの位置を取るかがポイントになります。
能力だけなら上位。
しかし単勝3倍台という市場評価と比較したとき、AIにはそれほど魅力的に映っていない。
今回のカムニャックは、
「来るか来ないか」より「この人気ほど勝率が高いのか」
という視点で見る方が面白そうです。
クイーンズウォークもAI圏外
3番クイーンズウォークも人気馬です。
ヴィクトリアマイル3着、金鯱賞3着、天皇賞・秋9着。
GII・GIで安定して走っており、今回のメンバーなら能力上位と考えるのが自然です。
新聞でもカムニャックに続く有力馬として評価されています。
それでもAI上位5頭外。
カムニャックと似た構図です。
特に今回は芝1800m。
クイーンズウォークは2000m前後でも高いパフォーマンスを出しており、1800mが決定的に悪いとは考えにくいですが、AIは今回の条件で「勝ち切る確率」をそれほど高く見積もっていないようです。
能力が高いことと、今回1着になる確率が最も高いことは別。
この違いはAI指数を見るうえでかなり重要です。
前走圧勝のセキトバイーストをどう見るか
10番セキトバイーストも気になります。
前走の府中牝馬Sは逃げて0.5秒差の完勝。
今回と同じ東京芝1800mです。
しかもそのレースでは、
2着ウイントワイライト
3着ミアネーロ
10着ニシノティアモ
を退けています。
馬柱だけ見れば今回の有力候補です。前走は1分45秒5、逃げ切りでした。
ただし今回AI上位5頭外。
理由として考えられるのは展開です。
今回はセキトバイーストだけではなく、
- クランフォード
- ルージュソリテール
- ワタシマツワ
- ハワイアンティアレ
など前へ行きたい馬が複数います。
新聞の全体評価はSペースですが、誰が主導権を取るかは前走ほど単純ではありません。
前走と同じ形を再現できるか。
ここがセキトバイースト最大のポイントになりそうです。
ラヴァンダは充実度なら上位
11番ラヴァンダもAI上位5頭外です。
前走中京記念を勝利。
東京新聞杯2着もあり、マイル路線ではかなり安定しています。今回の新聞でも有力馬の一角です。
ただ今回は1800m。
これまでの主戦場は1600mです。
もちろん距離延長そのものがマイナスとは限りませんが、今回は1800m実績のある馬も多い。
AIがそこを少し割り引いた可能性はあります。
市場では3番人気前後。
実績・近況ともに十分ですが、AI指数では「それほど差がない」という評価なのでしょう。
今回は人気とAI評価がかなり食い違う
今回のアイルランドTを面白くしているのは、AI上位と人気上位のズレです。
整理するとこうなります。
| 馬 | AI評価 | 市場評価の目安 |
|---|---|---|
| ニシノティアモ | 1位 | 6人気 |
| ミラビリスマジック | 2位 | 13人気 |
| カネラフィーナ | 3位 | 9人気 |
| ムイ | 4位 | 16人気 |
| ジョスラン | 5位 | 4人気 |
| カムニャック | 上位5頭外 | 1人気 |
| クイーンズウォーク | 上位5頭外 | 2人気 |
| ラヴァンダ | 上位5頭外 | 3人気 |
ここまで食い違うレースは、AI観察という意味ではかなり面白いです。
特に、
ミラビリスマジック13人気
ムイ16人気
という2頭が本当に上位争いできるのか。
この結果によって、今回の指数の評価は大きく変わります。
逆にカムニャック、クイーンズウォーク、ラヴァンダで普通に決着するなら、市場の方が正しかったということになります。
スローペースなら位置取りが重要になりそう
競馬新聞ではSペース予想。
逃げ候補としてクランフォード、セキトバイースト、ワタシマツワ、ハワイアンティアレなどが並んでいます。
東京芝1800mは直線が長いため「差し有利」というイメージを持ちやすいですが、スローなら話は別です。
前半で楽をした先行勢が、直線でもう一度速い脚を使えば、後方勢は簡単には届きません。
今回AI上位では、
ニシノティアモ
カネラフィーナ
ミラビリスマジック
あたりはある程度前で運べます。
一方、ジョスランは差し。
カムニャックやクイーンズウォークも中団寄りになる可能性があります。
そのため今回は、単純な末脚能力だけではなく、
4コーナーを何番手で通過するか
が結果にかなり影響しそうです。
特にニシノティアモが1枠1番から好位を取れるなら、AI1位という評価にも展開面の裏付けが生まれます。
今回の観察ポイント
今回のレースでは、単純にAI1位が勝つかどうかだけを見るのでは少しもったいありません。
注目したいのは次の4点です。
- ニシノティアモは人気以上に走れるのか
- ミラビリスマジックのAI2位は本物なのか
- 16番人気ムイという極端な評価差は何を拾っているのか
- カムニャックなど人気上位馬をAIが低く見た判断は妥当なのか
特にミラビリスマジックとムイ。
この2頭は「当たればすごい」という話だけではありません。
どんな条件でAIが市場と大きく違う評価を出すのか。
そして、そのズレが長期的に意味を持つのか。
そこを蓄積していくことの方が重要です。
AI指数を使う目的は、毎回人気馬を言い換えることではありません。
市場と同じ結論しか出ないのであれば、そもそもAIを使う意味は薄くなります。
今回のように大きく違う結論が出たレースこそ、モデルの特徴を知る良い材料になります。
まとめ
2026年アイルランドTのAI指数1位は、1番ニシノティアモでした。
p_win=0.1133で、2位ミラビリスマジックの0.0688から一歩抜けた評価です。
その後は、
2位 ミラビリスマジック
3位 カネラフィーナ
4位 ムイ
5位 ジョスラン
という並び。
今回最大の特徴は、市場人気とのズレです。
1~3番人気候補のカムニャック、クイーンズウォーク、ラヴァンダはAI上位5頭外。
一方で13番人気前後のミラビリスマジックがAI2位、16番人気前後のムイがAI4位となりました。
特にミラビリスマジックは前走阿武隈S勝ち、カネラフィーナは東京芝1800mのジューンS勝ちがあり、人気以上に評価できる材料もあります。
一方、ムイは馬柱から根拠を説明しにくい存在です。
だからこそ今回、最もAIらしい観察対象になります。
そしてAI1位ニシノティアモ。
前走10着だけを見ると評価しづらいですが、福島記念勝ちやヴィクトリアマイル6着など、重賞実績は十分。
1枠1番から好位を取れれば、スロー想定とも噛み合いそうです。
今回のアイルランドTは、
「実績上位の人気馬」対「AIが拾った中穴・大穴」
という構図になりました。
カムニャックたちが順当に能力を示すのか。
それともニシノティアモ、ミラビリスマジック、カネラフィーナあたりが人気との評価差を覆すのか。
AI指数の意味を確認するうえでも、かなり面白いレースになりそうです。


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