2026年9月13日のローズSは、1番人気モンローウォークが1分44秒5で勝利しました。
2着には3番人気エンネ、3着には2番人気イクシード。終わってみれば、1・3・2番人気で決まるかなり人気サイドの決着です。
一方、レース前の競馬AI指数はかなり違った景色を描いていました。
1位ナムラコスモス、2位アンディムジーク、3位タイセイボーグ、4位スウィートハピネス、5位スマートプリエール。
なかでもナムラコスモスは11番人気、アンディムジークは12番人気。市場とは大きく異なる評価となっており、「人気とAIのどちらが正しいのか」を観察する意味でも興味深いレースでした。
結果から先に言えば、今回は市場側の完勝です。
AI上位5頭から馬券圏内に入った馬はゼロ。最上位だったナムラコスモスは11着、2位アンディムジークも8着に終わりました。
ただ、今回の結果は単なる「外れ」で終わらせるにはもったいない内容でもあります。
予想記事で注目していた、
「AIは春の重賞実績を評価しすぎて、夏に急成長した3歳馬を捉えきれていないのではないか」
という仮説に対して、かなり分かりやすい材料が出たからです。
ローズSを振り返りながら、今回AIが何を間違えたのかを考えてみます。
- ローズSの結果
- AI指数は上位5頭すべて馬券圏外
- モンローウォークは「まだ重賞で走っていない」ことが弱点ではなかった
- 2着エンネもAIが拾えず。オークス7着を低く見すぎたか
- イクシード3着で、こちらも人気馬がAIを上回った
- AI1位ナムラコスモスは11着。前走大敗を軽視しすぎた可能性
- AI2位アンディムジークは8着。ただし252倍なら少し事情が違う
- タイセイボーグ12着は「休み明け」の扱いが課題か
- スマートプリエール6着、スウィートハピネス7着は惜しく見えて実は遠い
- スローペースだったことは結果にどう影響したか
- 今回の最大の反省は「過去実績」と「成長力」のバランス
- モデル改善で検討したいポイント
- 人気と違う予測を出すこと自体が目的ではない
- まとめ
ローズSの結果
まず上位は次のようになりました。
| 着順 | 馬番 | 馬名 | 人気 | 単勝オッズ |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 7 | モンローウォーク | 1人気 | 1.9倍 |
| 2 | 2 | エンネ | 3人気 | 5.9倍 |
| 3 | 6 | イクシード | 2人気 | 5.3倍 |
| 4 | 5 | ファストフォワード | 10人気 | 52.4倍 |
| 5 | 8 | ミリタリータトゥー | 11人気 | 58.9倍 |
| 6 | 3 | スマートプリエール | 8人気 | 32.2倍 |
| 7 | 10 | スウィートハピネス | 6人気 | 20.0倍 |
| 8 | 4 | アンディムジーク | 12人気 | 252.5倍 |
| 11 | 9 | ナムラコスモス | 9人気 | 44.0倍 |
| 12 | 12 | タイセイボーグ | 4人気 | 9.2倍 |
※人気・オッズは結果画面を基準にしています。
勝ったモンローウォークは2着エンネに3馬身差。
単に勝っただけではなく、今回のメンバーでは一枚上だったと言ってよさそうな内容でした。
馬連7-2は550円、3連複2-6-7は1,110円、3連単7→2→6でも3,490円。
荒れる余地もありそうに見えたレースでしたが、馬券的にはかなり素直な決着となりました。
AI指数は上位5頭すべて馬券圏外
事前のAI指数と結果を並べると、今回の厳しさがよく分かります。
| AI順位 | 馬名 | p_win | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1 | ナムラコスモス | 15.99% | 11着 |
| 2 | アンディムジーク | 11.88% | 8着 |
| 3 | タイセイボーグ | 10.39% | 12着 |
| 4 | スウィートハピネス | 9.74% | 7着 |
| 5 | スマートプリエール | 9.64% | 6着 |
AI上位5頭の最高着順がスマートプリエールの6着。
勝ち馬だけでなく、2着馬・3着馬も上位5頭に入っていませんでした。
今回については、「惜しかった」と表現するのは難しいです。
特に印象的なのは、
AIが高く評価した穴馬が走らず、AIが上位から外した人気馬3頭がそのまま1~3着を占めた
ことです。
AI指数の独自性という意味では市場と違う予測を出すこと自体は悪くありません。
問題は、その逆張りに根拠があったのか。
今回の結果を見る限り、少なくともローズSでは「市場が過小評価している馬を発見した」というより、AI側が人気馬の能力を過小評価していた可能性を考える必要があります。
モンローウォークは「まだ重賞で走っていない」ことが弱点ではなかった
今回もっとも重要なのは勝ったモンローウォークでしょう。
事前記事でも触れましたが、この馬は3戦3勝。
新馬戦を勝ったあと、函館の1勝クラス、2勝クラスを連勝。前走かもめ島特別では2着に0.6秒差をつけていました。
それでもAI上位5頭には入りませんでした。
レース前には、
「重賞実績のある馬と、条件戦を連勝してきた上がり馬のどちらを評価するのか」
という構図だと考えていました。
結果はかなり明確でした。
モンローウォークは3コーナーで2番手付近、4コーナーでも前につけたまま直線へ。
そこからしっかり伸び、後続に3馬身差。
勝ち時計は1分44秒5でした。
展開利だけで押し切ったというより、前につけながら最後まで脚を残していたことそのものが能力の高さを示しています。
これで4戦4勝。
今回については、「重賞実績がない」という情報よりも、
- 無敗
- 条件戦を連勝
- 前走0.6秒差
- まだ能力の上限を見せていない
という情報をもっと強く評価する必要があったのでしょう。
AIが過去の実績を整理することには強くても、「まだ見えていない能力」を推定するのは難しい。
3歳戦特有の難しさが出たレースだったように思います。
2着エンネもAIが拾えず。オークス7着を低く見すぎたか
2着はエンネ。
3番人気でした。
前走はオークス7着でしたが、勝ち馬ジュウリョクピエロとの差はわずか0.3秒。
さらに上がり33秒1。
フローラSでも2着しており、春の実績だけを見ても決して低く評価する馬ではありませんでした。
それでもAI上位5頭から外れています。
ここはナムラコスモスやスマートプリエールとの比較が興味深いところです。
AIはチューリップ賞や桜花賞など1600m前後の実績をかなり高く評価していた一方、エンネのフローラSやオークスでの好走を相対的に低く扱った可能性があります。
しかし今回のローズSは1800m。
結果的には2400mのオークスでしっかり脚を使えていたエンネが、1800mへの距離短縮にも対応しました。
「距離実績」を単純に見るのではなく、
長距離でも最後まで高いパフォーマンスを維持できた馬が、距離短縮でどうなるか
という視点も必要なのかもしれません。
イクシード3着で、こちらも人気馬がAIを上回った
3着は2番人気イクシード。
この馬もAI上位5頭には入りませんでした。
春のフラワーCではスマートプリエールに0.1秒差の3着。
その後カーネーションCを勝利して今回を迎えています。
事前には、
「スマートプリエールはフラワーC1着なのに26倍、イクシードは4~5倍。市場差が大きい」
という点に注目しました。
しかし結果は、
イクシード 3着
スマートプリエール 6着
でした。
もちろん1レースだけで能力の上下を決めることはできません。
ただ今回は、過去の直接対決を重視したAIより、その後の成長や現在の評価を織り込んだ市場の方が正しかったと見る方が自然です。
3歳馬の場合、数か月前に0.1秒先着したという事実が、そのまま秋の能力順位になるとは限りません。
ここも今回の重要な学びになりました。
AI1位ナムラコスモスは11着。前走大敗を軽視しすぎた可能性
今回AI1位だったナムラコスモスは11着。
p_win=15.99%と、2位以下より一段高い評価でした。
この馬をAIが高く評価した理由として考えていたのが、春の実績です。
チューリップ賞2着。
桜花賞6着。
特にチューリップ賞では今回AI3位だったタイセイボーグと同タイムでした。
一方、前走中京記念は15着。
予想段階では、
「前走だけで評価を落としすぎている可能性」
を考えていました。
しかし結果を見ると、今回はその逆だったのかもしれません。
つまりモデル側が、
春の好走実績を引きずりすぎて、直近の大敗を十分にマイナス評価できていなかった
可能性です。
今回も4コーナーでは中団付近にいましたが、直線では伸び切れず11着。
勝ったモンローウォークとの差は2秒5でした。
結果だけを見れば、少なくとも今回の状態では春のチューリップ賞当時と同等の評価を与えるべき馬ではありませんでした。
競馬では「一度の凡走を無視する」ことが穴馬発見につながる場合があります。
一方、それをやりすぎれば単に状態を落としている馬を高く評価してしまいます。
今回のナムラコスモスは、その境界を考えるいい材料になりそうです。
AI2位アンディムジークは8着。ただし252倍なら少し事情が違う
AI2位アンディムジークは8着。
最終的には12番人気、単勝252.5倍まで人気を落としていました。
AIとしてはかなり極端な評価です。
前走は札幌の1勝クラス1着。
春のチューリップ賞では8着ながら、勝ち馬タイセイボーグとは0.4秒差。
そこから夏を越して成長していれば、というのが評価のポイントでした。
結果は8着。
馬券圏内には届きませんでしたが、252倍という市場評価を考えると、完全に見当違いだったと片付けるのも少し違います。
勝ち馬とは1.2秒差でしたが、
ファストフォワード 4着・52.4倍
ミリタリータトゥー 5着・58.9倍
スマートプリエール 6着・32.2倍
スウィートハピネス 7着・20.0倍
アンディムジーク 8着・252.5倍
という並びです。
つまり人気ほど大きく負けたわけではありません。
ただ、AI2位として期待する結果ではなかったのも事実です。
「市場が252倍と評価した馬をAIが8倍相当と見る」というほどの強い乖離を生み出すなら、今後はこうした馬について別枠で検証する必要があります。
例えば、
AI順位ではなく『市場との乖離率』で抽出して長期成績を見る
という研究はかなり面白そうです。
一度当たれば派手ですが、本当に期待値があるのかは大量のサンプルで確認しなければ分かりません。
タイセイボーグ12着は「休み明け」の扱いが課題か
AI3位タイセイボーグは12着。
今回の上位5頭ではもっとも分かりやすい実績馬でした。
阪神JF3着。
チューリップ賞1着。
ナムラコスモスやスマートプリエールとの直接対決でも上位に来ています。
ただし今回は6か月半ぶり。
この点は予想記事でも不確定要素として触れていました。
結果的には直線で伸びず最下位。
半年以上の休養明けで能力を出し切れなかった可能性もありますし、1600mから1800mへの距離延長が合わなかった可能性もあります。
重要なのは、モデルが過去の最高パフォーマンスと「今日その能力を出せる確率」をどこまで分けて評価できているかです。
タイセイボーグのような馬は過去実績だけなら当然高評価になります。
しかし馬券で必要なのは、
「この馬は強い」
ではなく、
「今日の条件で強さを出せる」
という評価です。
休養期間や近走間隔をすでに特徴量に入れているとしても、今回のようなケースが継続するなら重み付けを再検証してもよさそうです。
スマートプリエール6着、スウィートハピネス7着は惜しく見えて実は遠い
AI上位で最も着順が良かったのがスマートプリエールの6着。
続いてスウィートハピネスが7着でした。
着順だけなら「もう少し」と感じますが、今回の上位3頭とは差があります。
スマートプリエールは1分45秒6。
スウィートハピネスも1分45秒6。
勝ち馬モンローウォークは1分44秒5。
1秒以上離されています。
つまり今回は、4~8着付近が接近していた一方で、勝ち馬だけは明確に抜けていました。
特にスマートプリエールは、フラワーC勝ちと1800m実績からAIが評価した馬です。
距離適性という読み自体は不自然ではありませんでしたが、過去に1800m重賞を勝ったことより、現在どれだけ能力を伸ばしているかの方が重要だったということでしょう。
スローペースだったことは結果にどう影響したか
今回のペース表示は「S」。
ラップは、
12.6-11.2-11.6-11.8-11.7-11.4-11.3-11.2-11.7
でした。
1000m通過は58秒9。
後半800mは、
11.4-11.3-11.2-11.7。
かなり速い上がり勝負になっています。
3コーナーでは、
5番ファストフォワード
7番モンローウォーク
11番レイクラシック
が前方。
モンローウォークは絶好の位置にいました。
こうした流れなら前にいた馬が有利だったと考えたくなります。
ただし、2着エンネは中団から、3着イクシードもさらに後方寄りから追い上げています。
したがって「前残りだったからモンローウォークが勝った」とするのは少し乱暴です。
むしろモンローウォークは、
スローペースを前で運べる機動力を持ちながら、直線でも34秒1でまとめた
ことが強みでした。
位置を取れて、なおかつ末脚も使える。
今回の条件では非常に完成度の高い競馬だったと思います。
今回の最大の反省は「過去実績」と「成長力」のバランス
今回のAI指数にはある程度一貫性がありました。
春の重賞で走った馬を高く評価する。
これは決しておかしな考え方ではありません。
しかし3歳秋という時期では、それだけでは足りませんでした。
今回の結果を整理すると、
| 馬 | 春までの評価 | 夏以降 | 結果 |
|---|---|---|---|
| モンローウォーク | 重賞実績なし | 条件戦連勝 | 1着 |
| エンネ | オークス7着 | 休養 | 2着 |
| イクシード | フラワーC3着 | 1勝クラス勝利 | 3着 |
| ナムラコスモス | 重賞好走 | 中京記念15着 | 11着 |
| タイセイボーグ | 重賞好走 | 6か月半休養 | 12着 |
かなり示唆的です。
AIは、
「過去に強かった馬」
を評価しました。
市場は、
「これまでの実績に加えて、今どの馬が伸びているか」
を評価していたように見えます。
もちろん市場が常に正しいわけではありません。
しかし今回については、成長期にある3歳馬では直近の上昇度をもっと重く見る必要があるという結果になりました。
モデル改善で検討したいポイント
今回のローズSだけで特徴量を変更するつもりはありません。
ただし同様の傾向が繰り返されるなら、いくつか検討したい項目があります。
まず「昇級馬の勝ち方」です。
単なる1着ではなく、
- 2着との差
- 上がり順位
- 道中位置
- 勝ち時計
- 前走からのパフォーマンス上昇
などを組み合わせれば、モンローウォークのような「クラスは低いが内容が強い馬」を拾いやすくなる可能性があります。
次に「3歳馬の成長速度」。
古馬なら半年前の能力が現在の能力と大きく変わらないことも多いですが、2~3歳は別です。
数か月で大きく成長します。
したがって同じ過去レースでも、
3歳春のレースを秋にどこまで減衰させるか
という時間軸の扱いが重要になりそうです。
そしてもう一つが「前走大敗」です。
ナムラコスモスのように過去実績が高い馬でも、直近で大きくパフォーマンスを落としている場合があります。
過去最高値をそのまま保持するのではなく、
現在のコンディションを推定する特徴量
をさらに考えてみたいところです。
人気と違う予測を出すこと自体が目的ではない
今回改めて感じたのは、AI指数は「人気馬を嫌うための道具」ではないということです。
市場と違う予測が出ると面白く感じます。
11番人気をAI1位、12番人気をAI2位とすれば、当たったときのインパクトも大きいです。
しかし、独自性と精度は別問題です。
人気馬が本当に強いなら、AIも人気馬を評価できなければいけません。
今回のローズSでは、
1番人気モンローウォーク
3番人気エンネ
2番人気イクシード
で決着しました。
市場の評価がかなり正確だったレースです。
こういう結果もきちんと記録しておくことが、長期的には重要だと思います。
「人気馬を当てても面白くない」
ではなく、
人気馬が妥当な人気なのか、それとも過剰人気なのかを判別できること
こそ指数に必要な能力です。
今回のAIにはそこが足りませんでした。
まとめ
2026年ローズSは1番人気モンローウォークが3馬身差で完勝。
2着3番人気エンネ、3着2番人気イクシードとなり、上位人気3頭がそのまま馬券圏内を占めました。
一方、AI指数はかなり厳しい結果です。
1位ナムラコスモス11着、2位アンディムジーク8着、3位タイセイボーグ12着、4位スウィートハピネス7着、5位スマートプリエール6着。
上位5頭から馬券圏内はゼロでした。
事前記事では、AIが春の重賞実績を評価する一方、モンローウォークのような条件戦を勝ち上がってきた馬を過小評価している可能性について触れました。
今回はまさにその懸念が結果として現れました。
モンローウォークは「重賞で走ったことがない馬」ではなく、まだ重賞で能力を証明する機会がなかっただけの馬だったのかもしれません。
そしてその潜在能力を、市場は1.9倍というオッズでかなり正確に評価していました。
今回の反省点は明確です。
過去の重賞実績だけでなく、条件戦での勝ち方、直近の成長度、3歳馬特有の能力上昇をどこまでモデルに反映できるか。
一方で、ナムラコスモスのような過去実績馬については、前走大敗をどの程度重く扱うべきかも考える必要があります。
穴馬を見つけることは競馬AIの面白さの一つです。
しかし穴馬を上位にすること自体が目的になってはいけません。
人気馬が本当に強いときには、その強さも正しく捉える。
ローズSは、そんな基本的な課題を改めて見せてくれたレースでした。
今回の結果はAIにとってかなり痛い外れでしたが、モデルを観察していくうえでは、むしろ記録しておきたい一戦になったと思います。




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