2026年のセントウルSは、1番人気フリッカージャブが1分06秒9で勝利しました。2着は2番人気ピューロマジック、3着は5番人気ママコチャ。上位人気馬がしっかり結果を残す決着となりました。
一方、事前の競馬AI指数ではかなり違う景色が見えていました。
AI1位はプロトポロスでp_win=0.2030。勝率換算では20.30%という突出した数字でしたが、最終的には226.5倍の16番人気。予想記事でも「AIと市場の評価があまりにも違う」と取り上げた馬です。
結果は7着。
勝ち切ることはできませんでしたが、16番人気から7着まで来たこと自体は、完全に見当違いだったとも言い切れません。
さらにAI4位だったクラスペディアは91.4倍の13番人気ながら4着。AI5位ピューロマジックは2着に入りました。
その一方、勝ったフリッカージャブはAI上位5頭に入っていません。
今回の結果は単純に「AIが外れた」で終わらせるよりも、AIが馬の能力順位を拾えていた部分と、勝率として数字を出したときに過大評価していた部分を分けて考える必要がありそうです。
セントウルSを振り返りながら、今後のモデル改善につながるポイントを整理します。
セントウルSの結果
上位は以下のようになりました。
| 着順 | 馬番 | 馬名 | 人気 | 単勝オッズ |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 3 | フリッカージャブ | 1人気 | 2.8倍 |
| 2 | 9 | ピューロマジック | 2人気 | 4.6倍 |
| 3 | 1 | ママコチャ | 5人気 | 10.8倍 |
| 4 | 2 | クラスペディア | 13人気 | 91.4倍 |
| 5 | 4 | ティニア | 15人気 | 170.0倍 |
| 6 | 7 | メイショウヨゾラ | 10人気 | 48.9倍 |
| 7 | 6 | プロトポロス | 16人気 | 226.5倍 |
| 8 | 5 | ダイヤモンドノット | 4人気 | 7.0倍 |
馬券的には1番人気→2番人気→5番人気という比較的素直な組み合わせでした。
馬連3-9は640円、3連複1-3-9は1,560円、3連単3→9→1も5,510円。
大穴が上位へ突っ込む可能性もありそうなメンバー構成でしたが、最終的には実績馬が上位を占めました。
ただし4着クラスペディアが13番人気、5着ティニアが15番人気。
着順の少し下まで見ると、人気薄もかなり健闘しています。
今回のAI予想を評価するときは、1~3着だけを見るより、このあたりまで含めて考えた方が良さそうです。
AI上位5頭の結果を振り返る
事前の指数は以下でした。
| AI順位 | 馬名 | p_win | 結果 | 最終人気 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | プロトポロス | 20.30% | 7着 | 16人気 |
| 2 | ダイヤモンドノット | 13.74% | 8着 | 4人気 |
| 3 | ビッグシーザー | 7.75% | 13着 | 8人気 |
| 4 | クラスペディア | 7.33% | 4着 | 13人気 |
| 5 | ピューロマジック | 6.73% | 2着 | 2人気 |
上位5頭から馬券圏内に入ったのはピューロマジックのみ。
そのため予想としては成功とは言えません。
特に1位プロトポロス、2位ダイヤモンドノット、3位ビッグシーザーがすべて馬券圏外という結果は重く受け止める必要があります。
一方で、クラスペディア4着、プロトポロス7着という結果には少し違った見方もできます。
どちらも最終人気は二桁。
AIは市場がほとんど評価していなかった2頭を上位に置き、実際に13番人気クラスペディアは4着まで走りました。
つまり今回、
「人気薄の中から走れる馬を探す」という部分では一定の手応えがあり、「その馬がどの程度勝つのか」という確率評価では大きくズレた
と整理するのが適切かもしれません。
ハイペースでも前の2頭が止まらなかった
レースラップを見ると、
- 200m:12.0
- 400m:10.3
- 600m:10.5
- 800m:10.8
- 1000m:11.4
- 1200m:11.9
前半600mは32秒8。
公式のペース判定も「H」となっています。
かなり速い流れでした。
3コーナーではピューロマジックが先頭、その直後にフリッカージャブ。4コーナーでもこの2頭が前にいました。
普通に考えれば前半32秒8なら、前に行った馬が最後に苦しくなっても不思議ではありません。
ところが結果は、
1着フリッカージャブ
2着ピューロマジック
でした。
ハイペースを前で運んだ2頭が、そのままワンツー。
今回のレースで最も印象的だった部分です。
最後の200mは11秒9まで落ちていますが、それでも後続は前の2頭を捕まえきれませんでした。
これは展開だけで説明するより、フリッカージャブとピューロマジックの1200mにおける純粋なスピード能力が高かったと見る方が自然でしょう。
予想時には「前へ行きたい馬が多いため、差し馬にも展開が向く可能性」を考えていました。
実際、前半は速くなりました。
それでも差し切れなかった。
ここは今回の予想で読み違えた部分です。
勝ったフリッカージャブをAI上位に入れられなかった
今回もっとも大きな反省点は、勝ったフリッカージャブがAI上位5頭に入っていなかったことです。
人間側から馬柱を見れば、
- 鞍馬S1着
- 北九州記念1着
- セントウルS1番人気
という馬。
近走実績だけなら非常に分かりやすい存在でした。
しかも今回はハイペースを2番手付近から追走し、ピューロマジックを最後に競り落としての勝利。
展開に恵まれただけの勝利とも言いづらい内容でした。
ここについては、AIが単純に人気馬を嫌ったというより、直近の1200mでのパフォーマンスや現在の充実度を十分に評価できていたのかを確認する必要があります。
例えばモデル内部で、
「過去何走の成績をどれくらい重く見るか」
「近走のクラス上昇をどう評価するか」
「連勝中の馬を一過性の上振れとして処理していないか」
といった部分は検証候補になります。
もちろん1レースだけで特徴量の優劣を決めることはできません。
ただ、「市場1番人気で直近重賞勝ちの馬がAI上位5頭にも入らず、その馬が実際に勝った」という結果は、モデルを見直すうえで覚えておきたい事例です。
AI5位ピューロマジックは2着
逆に市場評価の高い馬でAIも一定の評価をしていたのがピューロマジックでした。
p_win=6.73%で5位。
最終的には4.6倍の2番人気でした。
結果は2着。
3コーナーから先頭に立ち、前半600m32秒8の流れを作りながら、最後までフリッカージャブ以外には抜かせませんでした。
予想時には函館SS、アイビスSDと連勝しているにもかかわらずAI5位という点を取り上げ、
「市場ほどAIは高く評価していない」
としました。
結果を見る限り、今回は市場側の評価の方が正しかったと言えそうです。
特に直線1000mのアイビスSDから1200mへ戻ってもスピードはまったく衰えませんでした。
高松宮記念では13着、オーシャンSでは16着という過去もありますが、現在の状態や成長を考えると、古い敗戦をどの程度残すのかは検討してもいいかもしれません。
競馬AIではデータ量を増やすほど過去の情報を利用できます。
一方で競走馬は能力が固定された存在ではありません。
「昔の弱かった頃」と「今の充実期」を同じ重さで扱えば、現在地を低く見積もる可能性があります。
ピューロマジックは、その問題を考えるうえでも面白いサンプルになりました。
13番人気クラスペディア4着は今回の収穫
今回の指数で最も評価したいのは、むしろクラスペディアかもしれません。
AI4位、p_win=7.33%。
最終オッズは91.4倍。
13番人気でした。
結果は4着。
馬券にはあと一歩届きませんでしたが、人気を考えればかなりの好走です。
3コーナーでは前目のグループにつけ、4コーナーでも好位。
前半600m32秒8という速い流れの中で先行しながら、1分07秒3で4着に残りました。
勝ち馬との差は0.4秒。
AIが「人気以上に走れる可能性がある」と判断したこと自体は、かなり良い方向だったと思います。
ただし、ここで注意したいことがあります。
AIのp_winは7.33%。
単純に逆数を取れば、適正オッズは約13.6倍です。
それに対して実際の単勝は91.4倍。
もし本当に勝率7.33%あるなら、異常なほど割安な馬ということになります。
結果が4着だったから「惜しかった」とは言えますが、この1走だけで7.33%という確率まで正しかったとは言えません。
むしろ、
順位としては正しく拾えた。しかし確率としては強気すぎた可能性がある。
ここを区別する必要があります。
プロトポロス20.30%はどう評価するべきか
今回最大の検証対象だったプロトポロス。
最終的には226.5倍の16番人気でした。
それをAIはp_win=20.30%の1位にしました。
単純逆数では適正オッズ約4.9倍です。
| 馬名 | p_win | 単純逆数のオッズ | 最終単勝 |
|---|---|---|---|
| プロトポロス | 20.30% | 約4.9倍 | 226.5倍 |
| ダイヤモンドノット | 13.74% | 約7.3倍 | 7.0倍 |
| ビッグシーザー | 7.75% | 約12.9倍 | 28.6倍 |
| クラスペディア | 7.33% | 約13.6倍 | 91.4倍 |
| ピューロマジック | 6.73% | 約14.9倍 | 4.6倍 |
こうして見ると、プロトポロスだけ異常な乖離です。
最終226.5倍の馬を約4.9倍相当と評価していたことになります。
結果は7着。
16番人気から7着ですから、馬そのものの評価は市場よりAIの方が近かった可能性もあります。
実際、上がりは33秒4。
後方寄りからある程度伸びています。
そのため、
「プロトポロスを高く評価したこと自体が完全な間違いだった」
とは思いません。
問題は20.30%という数字です。
16頭立ての重賞で、他馬を大きく離して「5回に1回は勝つ」と評価するほど抜けていたのか。
結果だけではなく、事前の馬柱と市場評価まで考えると、ここは疑問が残ります。
今回のレースから得られる最大の示唆は、
AI順位には使える情報が含まれていても、p_winをそのまま実際の勝率とみなしてよいとは限らない
ということかもしれません。
「穴馬発見」と「勝率予測」は別々に評価したい
これまではp_winが高い順に並べ、基本的にはその数字を「勝つ可能性」として見てきました。
しかし今回の結果を見ると、評価軸を二つに分けた方が良さそうです。
ひとつはランキング性能。
「どの馬を上に置いたか」です。
今回なら13番人気クラスペディアを4位、16番人気プロトポロスを1位にした点。
これは市場と違う情報を出せています。
もうひとつが確率の精度。
「20.30%と出した馬が本当に同程度の条件で約20%勝っているのか」です。
これは1レースでは判断できません。
例えば今後、
| AI勝率帯 | 実際の勝率 |
|---|---|
| 5~10% | ○% |
| 10~15% | ○% |
| 15~20% | ○% |
| 20~25% | ○% |
という形で過去データを集計すれば、モデルのp_winが実際の勝率として機能しているのか確認できます。
仮に「p_win20%以上」の馬が実際には10%しか勝っていないなら、ランキングは正しくても確率は過信しています。
逆に20%前後勝っているなら、今回プロトポロスが負けたことは単なる5回中4回側の結果です。
この違いは非常に大きいです。
1レースの当たり外れではなく、確率の校正を長期データで確認する段階に来ているのかもしれません。
馬券への使い方も少し変える余地がありそう
今回AI1位プロトポロスを単勝中心で考えていれば不的中です。
一方で、
「AIと市場評価が大きく違う馬」
という視点ならクラスペディア4着、プロトポロス7着を拾えています。
ここから考えると、AI指数をそのまま単勝予想として使うだけでなく、
人気馬を選ぶ道具というより、市場が見落としている可能性のある馬を探すフィルター
として使う方法も考えられます。
例えば、
- AI上位馬を抽出する
- 市場人気との差を見る
- 馬柱で理由を確認する
- 極端な乖離はそのまま信用せず再確認する
という流れです。
今回ならクラスペディアは、
AI4位
13番人気
春雷S勝ち
という裏付けがありました。
一方プロトポロスは、
AI1位
16番人気
前走CBC賞4着
という材料はありましたが、53kgから57kgへの斤量増もありました。
指数だけならどちらも狙いたくなる馬ですが、人間側の確認を加えると温度差をつけられます。
「AIか人間か」ではなく、AIが違和感を提示し、人間がその理由を調べる。
この使い方の方が、現状のモデルには合っている可能性があります。
今回の結果から確認したいこと
今回だけでモデルを変更するつもりはありません。
ただし、今後確認したいテーマはかなり明確になりました。
まずは高p_win馬のキャリブレーションです。
プロトポロスの20.30%が偶然の外れなのか、それとも低人気馬へ極端な確率を出しやすいモデルなのか。
次に直近成績の重み。
フリッカージャブ、ピューロマジックという現在好調な馬をAIが市場ほど評価できませんでした。
そして人気薄を拾う能力。
クラスペディア4着は明確なプラス材料です。
今後、
「10番人気以下なのにAI上位5頭」
という馬だけを抽出し、
着順
複勝率
単勝回収率
複勝回収率
などを集計すると面白そうです。
もしこの条件で安定して人気以上に走っているのであれば、AIの強みは「勝ち馬を一頭当てること」ではなく、「市場が過小評価した馬を見つけること」にある可能性があります。
セントウルSは、その仮説を考えるきっかけになりました。
まとめ
2026年のセントウルSは1番人気フリッカージャブが勝利し、2番人気ピューロマジックが2着、5番人気ママコチャが3着となりました。
競馬AIはプロトポロスをp_win=20.30%で1位評価しましたが、結果は7着。
2位ダイヤモンドノットは8着、3位ビッグシーザーは13着となり、AI上位馬から勝ち馬を出すことはできませんでした。
その意味では、今回の予想は外れです。
一方、AI4位クラスペディアは91.4倍の13番人気ながら4着。AI5位ピューロマジックは2着でした。
特にクラスペディアについては、市場が低く評価した馬をAIが上位に拾えた好例です。
そして16番人気プロトポロスも7着まで走りました。
今回感じたのは、
「AI順位が間違っていること」と「p_winの数字が強すぎること」は別問題なのではないか
ということです。
プロトポロスを人気以上に評価した方向性そのものは完全には否定できません。
ただし20.30%という勝率が妥当だったかは別です。
今後は上位馬の的中率だけでなく、p_win10%、15%、20%と出した馬が実際にどの程度勝っているのかも確認してみたいと思います。
またフリッカージャブを上位に入れられなかった点から、直近の充実度をモデルが適切に反映できているのかも検証したいところです。
今回のセントウルSは的中という意味では悔しい結果でした。
しかし、13番人気クラスペディア4着という成果と、226.5倍プロトポロスへ20.30%を与えた極端な評価。
この二つを同時に見ることで、モデルの長所と課題がかなり分かりやすく現れたレースだったと思います。
「当たった、外れた」で終わらせず、なぜそう評価したのかを積み重ねる。
今回もまた、AIが競馬を理解していくための一つの材料として残しておきます。



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