2026年10月11日の東京11R・アイルランドTは、1番人気の16番カムニャックが勝利しました。
2着には4番人気の15番ジョスラン、3着には2番人気の11番ラヴァンダ。
終わってみれば上位人気馬が順当に力を示し、3連複11-15-16は2,100円、3連単16→15→11は7,740円という比較的落ち着いた決着となりました。
一方、事前のAI指数では、
1位 ニシノティアモ
2位 ミラビリスマジック
3位 カネラフィーナ
4位 ムイ
5位 ジョスラン
という並び。
AI上位5頭の中で馬券圏内に入ったのは、5位ジョスランの2着のみでした。
ただし、3位カネラフィーナが4着、2位ミラビリスマジックが6着、1位ニシノティアモも7着。
「全く見当違いだった」というより、人気薄を上位付近には拾えていたものの、勝ち切る馬の評価を誤ったレースと見る方が近そうです。
今回は、レース内容とAI指数のズレを振り返ります。
アイルランドTの結果
まずは上位着順です。
| 着順 | 馬番 | 馬名 | 人気 | AI順位 |
|---|---|---|---|---|
| 1着 | 16 | カムニャック | 1人気 | 上位5頭外 |
| 2着 | 15 | ジョスラン | 4人気 | 5位 |
| 3着 | 11 | ラヴァンダ | 2人気 | 上位5頭外 |
| 4着 | 5 | カネラフィーナ | 9人気 | 3位 |
| 5着 | 12 | ミアネーロ | 11人気 | 上位5頭外 |
| 6着 | 7 | ミラビリスマジック | 13人気 | 2位 |
| 7着 | 1 | ニシノティアモ | 7人気 | 1位 |
| 8着 | 3 | クイーンズウォーク | 3人気 | 上位5頭外 |
| 10着 | 6 | ムイ | 16人気 | 4位 |
勝ち時計は1分44秒4。
カムニャックは大外16番から中団付近で運び、直線でしっかり伸びて勝利しました。
2着ジョスランもその近くから伸び、3着ラヴァンダも中団から差し込む形。
今回の上位勢を見る限り、前で押し切るというよりも、好位~中団で脚をためた馬が最後に伸びるレースになりました。
ラップから見るアイルランドT
レースラップは以下の通りです。
| 距離 | 通過タイム | 200mラップ |
|---|---|---|
| 200m | 12.4 | 12.4 |
| 400m | 23.2 | 10.8 |
| 600m | 34.3 | 11.1 |
| 800m | 46.2 | 11.9 |
| 1000m | 57.9 | 11.7 |
| 1200m | 1:09.5 | 11.6 |
| 1400m | 1:21.3 | 11.8 |
| 1600m | 1:32.8 | 11.5 |
| 1800m | 1:44.4 | 11.6 |
JRA表示ではミドルペース。
最初の600mは34.3秒でした。
芝1800mとしては序盤からある程度流れ、400~600mでは10.8-11.1秒。
その後も極端に緩む区間がなく、最後まで11秒台を刻み続けています。
つまり、典型的な「前半ゆったり→直線だけの瞬発力勝負」とは少し違いました。
前半からそれなりに脚を使いながら、最後までスピードを維持できる能力が求められたレースです。
これは事前予想との大きな違いでした。
競馬新聞ではスロー想定でしたが、実際にはMペース。
AI予想でも「スローなら前で運べるニシノティアモやカネラフィーナに追い風」と考えていましたが、その前提自体が少し崩れました。
結果的には、中団で余力を残したカムニャック、ジョスラン、ラヴァンダが上位に来ています。
1着カムニャック|AIが軽視した地力がそのまま出た
勝ったのは16番カムニャック。
1番人気、単勝3.2倍でした。
事前記事では、昨年のオークス馬であり、今年もヴィクトリアマイル2着、阪神牝馬S2着という実績を持ちながら、AI指数では上位5頭に入っていませんでした。
ここは今回のAI予想における最大の反省点です。
大外16番、5カ月休養明けという条件から、「能力は高いが市場ほど勝率は高くないのではないか」と見ていました。
しかし実際には、その不安を地力で押し切りました。
道中は無理に前へ行かず、中団付近。
4コーナーでも先頭を射程圏に入れつつ脚を残し、直線では上がり33.4秒。
勝ち時計1分44秒4。
馬場・展開に恵まれて逃げ切ったというより、強い馬が正攻法で勝ったと評価してよさそうです。
ここから得られる教訓は単純です。
AIが人気馬を低く評価したとき、
「AIが穴馬を見つけた」
と考えるだけでは足りません。
同時に、
「実績上位馬の能力をモデルが過小評価していないか」
も確認する必要があります。
カムニャックは今回、その典型例でした。
2着ジョスラン|AI5位は最低限機能
2着は15番ジョスラン。
AI指数では5位、p_win=0.0537でした。
4番人気ながらAI上位に残しており、今回の上位5頭では唯一馬券圏内に入りました。
道中はカムニャックより少し前。
2コーナーでは15番が中団付近、3~4コーナーでも大きく位置を落とさず運び、最後はカムニャックに半馬身まで迫りました。
上がり33.7秒。
これまで小倉牝馬S勝ちや秋華賞4着など中距離で実績を残しており、1800mへの適性にも問題はありませんでした。
今回のAI予想では、
「実績は十分だが、指数では5位なので突出してはいない」
という評価でした。
勝ち馬こそ拾えませんでしたが、ここはAIと馬柱双方が比較的素直に噛み合った一頭です。
今回の結果を見ると、ジョスランについてはAI順位をもっと重く見るというより、人気・実績・AIの3要素が揃った馬は安定して評価しやすいという確認になりました。
3着ラヴァンダ|「距離延長」を警戒しすぎたか
3着は11番ラヴァンダ。
2番人気でしたが、AI上位5頭には入っていませんでした。
前走は中京記念1着。
東京新聞杯でも2着があり、マイル路線では安定した実績を残していました。
事前記事では、
「1800mへの距離延長がどうか」
という部分を一つの懸念としていました。
しかし結果は3着。
1800mでも十分に対応しました。
上がり33.6秒。
今回の流れで中団からこれだけ伸びられたなら、少なくとも「1600m向きだから1800mでは割引」という単純な考え方では評価を落としすぎだった可能性があります。
特に今回の1800mは、前半から極端にゆったり流れるレースではありませんでした。
ある程度スピード能力も要求されており、むしろマイルでの高いパフォーマンスが生きやすかったとも考えられます。
距離という数字だけを見るのではなく、
どんな1800mになりそうか
まで見る必要があります。
これは今後の予想でも意識したいポイントです。
AI3位カネラフィーナは9番人気4着
AI上位馬で最も惜しかったのが5番カネラフィーナでした。
AI指数3位、p_win=0.0624。
市場では9番人気、単勝21.9倍。
結果は4着。
馬券圏内まであと一歩でした。
この馬について事前記事では、東京芝1800mのジューンSを勝っていることを評価していました。
今回もそのコース適性はある程度示したと思います。
4着という結果だけを見ると外れですが、9番人気で4着ならAI評価としては悪くありません。
特に今回、
1着1番人気
2着4番人気
3着2番人気
というかなり強い馬が上位を占めています。
その直後に9番人気のカネラフィーナ。
AI3位という評価が完全に間違っていたとは言いづらい結果です。
こういう馬は、AI予想を長期的に検証するうえで重要です。
「馬券にならなかったから失敗」
と切り捨てるのではなく、
人気より明らかに上の着順に来た
ことを記録しておきたいところです。
AI2位ミラビリスマジックも13番人気6着
7番ミラビリスマジックは6着。
AI指数2位、p_win=0.0688。
市場では13番人気、69.5倍でした。
こちらも馬券には届きませんでした。
しかし13番人気で6着。
AIが市場より高く評価したこと自体は、ある程度結果に表れています。
事前に注目していたのは、前走の阿武隈S勝ち。
重賞実績は乏しいものの、1800mでは比較的パフォーマンスが安定していました。
今回も勝ち馬から大きく離されたわけではなく、1分45秒1。
上位とは0.7秒差です。
もちろんAI2位として考えれば物足りません。
ただし、
「13番人気ほど弱い馬ではなかった」
という判断はそれなりに妥当だったように見えます。
ここは「AI順位」と「市場とのズレ」を分けて考える必要があります。
AI2位だから2着前後を期待するのではなく、
「市場は13番人気だが、実力的にはもっと上ではないか」
という使い方なら、今回も意味のあるシグナルでした。
AI1位ニシノティアモは7着
今回AI指数1位だった1番ニシノティアモは7着。
p_win=0.1133。
事前時点では6番人気想定でしたが、最終的には7番人気、単勝14.4倍でした。
AI指数では2位以下にある程度差をつけていました。
それだけに7着は明確な失敗です。
今回のレースを見ると、ニシノティアモは内枠からある程度前につけています。
ただし、想定していたような「スローの好位」という条件にはなりませんでした。
前半600m34.3秒。
その後も大きく緩まず、最後まで11秒台が続きます。
結果として、道中で脚をためていた外のカムニャックやジョスランに伸び負けました。
もちろん展開だけで7着すべてを説明することはできません。
ただ、AIがニシノティアモの先行力や東京適性を高く評価していたとすれば、
想定より流れたことで、その強みが薄れた
可能性はあります。
AI1位だからといって、条件が変わっても1位相当の期待値を維持できるとは限りません。
ここは重要な反省点です。
AI4位ムイは10着|大穴評価は不発
6番ムイは10着。
AI指数4位、p_win=0.0564。
最終単勝332.6倍の16番人気でした。
今回最も市場とAIの評価が食い違った馬です。
事前記事でも、
「AIを信じる馬というより、なぜこれほど高く出ているのかを観察したい馬」
としました。
結果としては10着。
馬券圏内には届きませんでした。
ただ、16番人気で10着ですから、完全な最下位候補という走りでもありませんでした。
とはいえAI4位という順位から考えれば、評価しすぎです。
ムイについては近走の主戦場が1200~1400m。
1800mへの大幅な距離延長でした。
結果を見る限り、モデルが何らかの特徴量を強く評価したとしても、それが今回の勝率にはうまく結びつかなかった可能性があります。
こうした極端なAI評価こそ、後から特徴量寄与を確認したいサンプルです。
「穴馬を当てられなかった」で終わらず、
- なぜ4位になったのか
- 距離延長をどう評価していたのか
- 過去の短距離実績を過大評価していなかったか
を確認すると、モデル改善につながりそうです。
人気馬を嫌うこと自体が目的になってはいけない
今回の予想で一番大きなテーマになったのが、
AIと市場人気のズレ
でした。
事前には、
カムニャック1番人気
クイーンズウォーク2~3番人気
ラヴァンダ上位人気
に対して、AIは3頭とも上位5頭外。
逆に、
ミラビリスマジック
ムイ
カネラフィーナ
といった人気薄を上位に評価しました。
結果を見ると、
カムニャック 1着
ラヴァンダ 3着
クイーンズウォーク 8着
です。
市場人気が全部正しかったわけではありません。
クイーンズウォークは3番人気ながら8着。
一方、AIが評価したカネラフィーナは9番人気4着、ミラビリスマジックは13番人気6着でした。
つまり、
人気馬軽視が完全に間違いだったわけでも、穴馬評価が完全に成功したわけでもない
という結果です。
ここが競馬予想の難しいところです。
AIを使っていると、どうしても市場と違う馬を見つけたときに魅力を感じます。
しかし、
「人気馬と違う結論だから価値がある」
わけではありません。
価値があるのは、
市場より正確な確率を出せたときだけ
です。
今回のカムニャックは、そのことを改めて示したように思います。
それでも人気薄評価には意味があった
一方で、今回AIが拾った人気薄を全否定する必要もありません。
AI上位5頭の着順は、
| AI順位 | 馬 | 人気 | 着順 |
|---|---|---|---|
| 1位 | ニシノティアモ | 7人気 | 7着 |
| 2位 | ミラビリスマジック | 13人気 | 6着 |
| 3位 | カネラフィーナ | 9人気 | 4着 |
| 4位 | ムイ | 16人気 | 10着 |
| 5位 | ジョスラン | 4人気 | 2着 |
となりました。
13番人気→6着。
9番人気→4着。
16番人気→10着。
市場人気だけと比べると、上位に評価した人気薄はそれなりに順位を上げています。
問題は「勝率」です。
AI指数はp_win。
つまり最終的に評価したいのは1着になる確率です。
着順を上げたこと自体はプラス材料ですが、
4着や6着では単勝回収にはつながりません。
ここは、
着順予測としては悪くないが、勝率予測としてはまだ足りない
という見方もできます。
今後、同じようなパターンが繰り返されるなら、モデルそのものより「指数の使い方」を変える余地もありそうです。
例えばAI2~5位の人気薄が頻繁に4~8着へ来るのであれば、
単勝だけでなく複勝圏予測や着順分布を別モデルで作るという方向も考えられます。
今回のレースから見えた3つの課題
今回のアイルランドTから、今後確認したいポイントは3つあります。
1つ目は、実績馬を過小評価していないか。
カムニャックはGI・GIIで高い実績を持つ馬。
それでもAI上位5頭外でした。
能力の絶対値を十分に拾えているかは検証したいところです。
2つ目は、ペース変化への対応です。
事前はスロー想定。
実際はMペースでした。
展開予測そのものをAI指数に入れていない場合でも、脚質や位置取りの特徴量が結果に影響します。
想定ペースが変わったときに指数順位がどう変化するのかを見ると面白そうです。
3つ目は、人気薄を高評価する理由の確認。
ミラビリスマジックとカネラフィーナは人気以上に走りました。
一方、ムイはAI4位まで評価するほどではありませんでした。
「人気薄を拾う特徴量」が一括りなのではなく、どの要因から高評価になったのかを分解して確認したいところです。
今回のAI指数をどう評価するか
今回を点数で表すなら、個人的には40~50点程度でしょうか。
勝ち馬カムニャックを上位5頭に入れられなかった。
3着ラヴァンダも拾えなかった。
AI1位ニシノティアモは7着。
単勝予測としては明確に外れです。
一方で、
AI5位ジョスランが2着。
AI3位カネラフィーナが9番人気4着。
AI2位ミラビリスマジックが13番人気6着。
人気薄の中から「市場評価ほど弱くない馬」をある程度拾えていました。
この部分は今後につながります。
今回のようなレースでは、
AI順位だけを見るのではなく、市場人気との差を見る
ことがやはり重要そうです。
ただし、その差が大きいからといって自動的に「買い」になるわけではありません。
市場とのズレを見つけ、そこから馬柱で理由を探す。
今回なら、
カネラフィーナの東京1800m実績
ミラビリスマジックの1800m適性
はある程度説明できました。
一方、ムイは説明が難しかった。
結果もその違いに近いものになりました。
この「AIの高評価を人間側で説明できるか」という作業は、今後もかなり有効かもしれません。
まとめ
2026年アイルランドTは、1番人気カムニャックが1分44秒4で勝利。
2着ジョスラン、3着ラヴァンダとなりました。
事前のAI指数は、
1位 ニシノティアモ
2位 ミラビリスマジック
3位 カネラフィーナ
4位 ムイ
5位 ジョスラン
でした。
AI上位から馬券圏内に入ったのはジョスランのみ。
勝ち馬カムニャック、3着ラヴァンダを上位5頭に入れられなかった点は、素直にAI側の敗戦です。
一方で、カネラフィーナは9番人気4着、ミラビリスマジックは13番人気6着。
市場より上に評価した人気薄が、実際にも人気以上の走りを見せた点は興味深い結果でした。
今回もっとも大きな学びは、
「人気馬を嫌えたこと」ではなく、「人気馬を嫌う根拠が本当に十分だったか」
という部分です。
カムニャックは休み明け、大外枠という不安材料を抱えていましたが、それ以上にGI・GIIで示してきた能力が高かった。
AIが人気と違う答えを出したときほど、その違いそのものを面白がるのではなく、
「なぜ違うのか」
まで掘り下げる必要があります。
そして人気薄についても同じです。
カネラフィーナやミラビリスマジックのように、AI評価を馬柱からある程度説明できた馬は実際にも健闘しました。
一方、AI4位ムイのように説明が難しい馬は10着。
今回のアイルランドTは、的中という意味では成功とは言えません。
それでも、
AI指数を順位表として使うだけではなく、市場との差を観察する材料として使う
という、このブログの方向性を改めて確認できるレースだったと思います。



コメント