2026年9月20日の中山11Rは、GIIオールカマー。中山芝2200mで13頭が争います。
今回の競馬AI指数を見て、まず目についたのは「1位の数字が低いこと」と「人気想定とのズレ」です。
AI1位は1番キャントウェイトですが、p_winは8.67%。2位アスクドゥポルテ7.72%、3位パンジャ6.86%と続き、5位レガレイラまでわずか2.79ポイント差しかありません。
さらに上位5頭のp_winを合計しても35.31%。つまりAI自身が「上位数頭で決まりやすいレース」とは見ていません。
その一方、馬柱の予想オッズではレガレイラが2.7倍の1番人気、コスモキュランダが4.3倍の2番人気、ヴーレヴーが5.9倍の3番人気想定。ところがAIではレガレイラが5位、コスモキュランダとヴーレヴーは上位5頭圏外です。
前日の大阪スポーツ杯では、「AIと市場が大きく違うレース」を観察した結果、AI1位マッシャーブルムが11着。一方で市場が評価していたリサシテーションが勝利しました。
だからこそ今回は、単純に「AIが人気薄を見つけた」と喜ぶのではなく、なぜAIがその馬を評価しているのか、逆になぜ人気馬をそこまで評価していないのかを馬柱と照らし合わせながら考えてみます。
※記事内のオッズ・人気は添付馬柱に記載された予想オッズを使用しています。実際の最終オッズとは異なります。
AI指数上位5頭
今回の指数は以下の通りです。
| AI順位 | 馬番 | 馬名 | p_win | 予想オッズ | 想定人気 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | キャントウェイト | 8.67% | 17.8倍 | 7人気 |
| 2 | 5 | アスクドゥポルテ | 7.72% | 77.3倍 | 11人気 |
| 3 | 6 | パンジャ | 6.86% | 9.4倍 | 4人気 |
| 4 | 12 | エセルフリーダ | 6.18% | 10.0倍 | 5人気 |
| 5 | 7 | レガレイラ | 5.88% | 2.7倍 | 1人気 |
今回かなり面白いのが、AI順位と予想人気がほとんど一致していないことです。
キャントウェイトは7番人気想定ながら1位。さらに77.3倍・11番人気想定のアスクドゥポルテが2位まで浮上しています。対して1番人気想定レガレイラは5位です。
ただし、ここで注意しておきたいことがあります。
1位キャントウェイトでも8.67%しかありません。
前日の大阪スポーツ杯ではマッシャーブルムが17.35%まで上がっていました。それと比べれば今回は指数がかなり分散しています。
したがって、
「キャントウェイトをAIが圧倒的に強いと判断した」
という解釈ではありません。
むしろ、
「かなり混戦と見ている中で、相対的にキャントウェイトを最も上に置いた」
という理解の方が近そうです。
AI1位キャントウェイト|3勝クラス勝ち直後でGIIへ
キャントウェイトのp_winは8.67%。
馬柱では17.8倍の7番人気想定です。
前走は札幌芝2000mのWASJ第2戦。5番手付近から進み、スパークリシャールとの接戦を制して3勝クラスを突破しました。
その前はSTV賞9着でしたが、阪神の垂水Sでは5着、東京の府中Sでは3着。大崩れだけを繰り返してきた馬ではなく、条件戦では一定のパフォーマンスを続けています。
問題は当然、今回がGIIだということです。
前走まで3勝クラスだった馬が、
レガレイラ
コスモキュランダ
ジューンテイク
といったGI・GII実績馬を相手にいきなり通用するのか。
人間が馬柱を見ると、どうしてもここで評価を下げたくなります。
それでもAIが1位に置いたということは、クラス名よりも近走で記録している走破内容や位置取り、上がり、条件などを評価している可能性があります。
しかも今回は1枠1番。
前走のように中団前めでロスなく進められるなら、初重賞という肩書きほど能力差がない――というのがAI側の見立てなのかもしれません。
ただしp_winは8.67%。
「重賞でも通用すると断言している」というより、昇級による未知数を含めても7番人気程度まで評価を落とす必要はない、とAIが見ている馬として観察する方が面白そうです。
AI2位アスクドゥポルテ|今回最大の違和感
今回、一番気になるのはこちらです。
5番アスクドゥポルテ。
p_winは7.72%でAI2位。それに対して予想オッズは77.3倍、11番人気です。
単純に予想オッズの逆数を取れば、77.3倍は約1.3%相当。もちろん予想オッズですし控除率も考慮していないため厳密な比較ではありませんが、AIの7.72%とはかなり大きな開きがあります。
ところが馬柱を見ると、すぐに飛びつける成績でもありません。
5カ月半ぶりの実戦。前走福島民報杯は12着。その前の小倉日経賞も12着、万葉S6着。昨年の新潟記念では10着でした。
人間目線なら、「なぜこれが2位?」となる馬です。
ただ、一つだけ非常に気になる履歴があります。
2025年新潟記念では10着ながら、上がり32秒6を記録しています。
着順だけなら平凡ですが、後方から脚を使えること自体は示しています。
そして今回、中山芝2200m。
小回り寄りの中山ではありますが、外回りコースなので直線だけの瞬発力勝負とは限らず、早めに流れが動けば後方勢にも出番が生まれます。
もちろん、これだけで77倍想定の馬を高評価する理由にはなりません。
むしろ今回は、
「AIが昔の末脚能力を引っ張りすぎていないか」
を確認する格好のサンプルだと思います。
大阪スポーツ杯のマッシャーブルムでも、過去実績をAIが強く残している可能性が見えました。
アスクドゥポルテが今回も同じパターンなのか、それともAIが人間の馬柱評価では拾いづらい能力を捉えているのか。
個人的には今回のオールカマーで、結果を最も確認したい馬です。
AI3位パンジャ|今回もっとも納得しやすい上位評価
6番パンジャはp_win=6.86%で3位。
予想オッズ9.4倍、4番人気です。
AIと人間側の評価が比較的近い馬と言えます。
そして今回、馬柱を見たときの説得力も高いです。
前走は4月のサンシャインS。
今回と同じ中山芝2200mで1着。
8番手付近から運び、最後は上がり33秒6。3勝クラスとはいえ、今回とまったく同じ舞台で勝っていることは大きな材料です。
それ以前も、
東京芝2000mで5着
東京芝2000mで3着
と一定の成績。
キャントウェイトと同じくオープン・重賞経験が豊富な馬ではありませんが、「今回の条件で走れるか」という問いに対する不確定要素は比較的小さい馬です。
休養は5カ月。
ただし馬柱上の鉄砲成績は1戦1勝。
サンプル1なので強い根拠にはできませんが、休み明けだけを理由に大きく嫌う材料でもなさそうです。
今回AI上位5頭の中で、
AI評価と馬柱から受ける印象が最も素直に一致するのはパンジャ
かもしれません。
AI4位エセルフリーダ|中山実績はかなり魅力的
12番エセルフリーダはp_win=6.18%。
予想オッズ10.0倍、5番人気です。
6カ月半ぶりという点は気になりますが、近走内容はかなり強力です。
前走は中山牝馬S。
中山芝1800mで2番手から運び、ビヨンドザヴァレーを退けて重賞初制覇。
さらにその前の初富士Sも中山芝2000mで1着です。つまり直近2走を中山で連勝しています。
2200mそのものの実績とは違いますが、「中山で能力を出せる」という材料は分かりやすいです。
今回面白いのは脚質。
前走中山牝馬Sでは2-2-2-2。初富士Sでも好位。
一方、今回の上位勢にはキャントウェイトやパンジャなど中団から進めたい馬もいます。
エセルフリーダが前めのポジションを取れれば、AI上位馬同士でも全く違う展開を取りにいけます。
さらに鉄砲成績は[1.2.0.1]。
休養明けという一点だけで評価を落とす必要はなさそうです。
AI4位はそれほど意外感のない評価です。
AI5位レガレイラ|1番人気想定なのに5位
今回、最も重要な比較対象はレガレイラでしょう。
予想オッズ2.7倍の1番人気。
しかしAIはp_win=5.88%で5位です。
馬柱だけを見るなら、今回のメンバーでは実績最上位クラス。
昨年のオールカマーを今回と同じ中山芝2200mで勝利。その後エリザベス女王杯も勝ち、有馬記念4着。前走の宝塚記念は7着でした。
特に昨年のオールカマーを勝っているという事実は、人間にとって非常に分かりやすい材料です。
「昨年勝ったコースに戻る」
「GI馬」
「戸崎騎手」
「1番人気想定」
買いたくなる理由はいくらでも見つかります。
ところがAIは5位。
しかも1位キャントウェイトとの差はわずか2.79ポイントとはいえ、単勝2倍台になるほど抜けた評価ではありません。
ここには今回の重要な観察テーマがあります。
「強い馬」と「今回勝つ確率が高い馬」は同じなのか
レガレイラがこのメンバーで実績上位であることと、今回の勝率が突出していることは、必ずしも同じではありません。
昨年のオールカマーを勝った事実は強力です。
しかし競馬AIが評価しているのは、基本的には「今回の条件で勝つ確率」。
過去のタイトルそのものではありません。
レガレイラは昨年のオールカマー後にエリザベス女王杯を勝ちましたが、有馬記念4着、今年の宝塚記念7着。
しかも今回は3カ月ぶりです。
もちろん休み明けそのものは珍しくありませんし、能力上位なのは間違いありません。
ただし単勝2.7倍という評価と、AI5.88%の間にはかなり大きな温度差があります。
今回は「レガレイラが来るか来ないか」以上に、
AIがGI実績馬をどこまで割り引いて正しいのか
を見るレースになりそうです。
コスモキュランダもAI上位5頭圏外
さらに興味深いのが9番コスモキュランダです。
予想オッズ4.3倍の2番人気。
前走宝塚記念では逃げて4着。昨年の有馬記念では12番人気ながら2着しています。
一方、今年の日経賞では1番人気で7着でした。
この馬も実績だけならAI上位にいて不思議ではありません。
ところが上位5頭圏外。
レガレイラだけでなく、コスモキュランダまでAIが大きく評価していないとなると、今回のモデルはかなり明確に「実績馬より別の馬」を選んでいます。
前走宝塚記念4着という直近実績まであることを考えると、単純に近走成績を重視しているだけでも説明できません。
ここは結果後に特徴量を掘ってみたい部分です。
3番人気想定ヴーレヴーも上位圏外
ヴーレヴーは5.9倍の3番人気想定。
前走クイーンS3着、2走前巴賞1着と近況は非常に良好です。
特に巴賞では0.5秒差をつけて勝利。
それでもAI上位5頭には入りませんでした。
こちらはレガレイラやコスモキュランダとは少し事情が違います。
近走の主戦場は1800m。
今回は2200mです。
人間は「好調だから今回も」と考えやすい一方、AIが距離延長や過去の距離構成を含めて評価を下げている可能性があります。
もしヴーレヴーが今回も好走するなら、「近走の勢い」をAIが過小評価している可能性。
逆に距離延長でパフォーマンスを落とすなら、AI側の判断に一定の説得力が出てきます。
これも面白い比較です。
ジューンテイクは6番人気想定ながら実績十分
13番ジューンテイクも忘れにくい存在です。
予想オッズ10.7倍、6番人気。
今年2月には京都記念を勝利。続く金鯱賞4着、QE2世C8着、宝塚記念8着という戦歴です。
GII勝ちがあり、芝2200mの重賞実績もあります。
それでもAI上位5頭から外れています。
つまり今回のAIは、
「重賞実績のある馬を上から順番に並べた」
という指数では全くありません。
キャントウェイトやパンジャといった3勝クラス突破組を上げる一方、重賞実績馬を複数下げています。
今回のオールカマーは、このモデルの性格を見るうえでかなり面白い一戦になりました。
今回は「AI1位」より順位全体を見るレース
ここまで見ると、キャントウェイト1位だけを強調すると今回の指数を誤解してしまいそうです。
改めて数字を見ると、
8.67%
7.72%
6.86%
6.18%
5.88%
です。
1~5位までかなり接近しています。
1位と2位は0.95ポイント差。
3位と5位でも0.98ポイント差しかありません。
つまりモデル自身も順位に強い確信を持っているとは言いにくい状態です。
むしろ今回注目したいのは順位そのものより、
| 観察ポイント | AI側 | 馬柱・予想人気側 |
|---|---|---|
| キャントウェイト | 1位 | 7人気想定 |
| アスクドゥポルテ | 2位 | 11人気想定 |
| レガレイラ | 5位 | 1人気想定 |
| コスモキュランダ | 上位5頭外 | 2人気想定 |
| ヴーレヴー | 上位5頭外 | 3人気想定 |
という評価構造のズレです。
これは結果が出たあと非常に検証しやすい形です。
アスクドゥポルテは「AIの穴馬発見」なのか、それともノイズなのか
今回一頭だけ選んで観察するとすれば、やはりアスクドゥポルテです。
77倍想定でAI2位。
もしこれが好走すれば非常に面白い。
一方、普通に大敗すれば、大阪スポーツ杯のマッシャーブルムに続いて「市場が大きく嫌っている近況不振馬をAIが過大評価している」という共通点が浮かんできます。
この違いは重要です。
AI指数を長く使ううえで価値があるのは、
「たまに100倍の馬を当てること」
そのものではありません。
人気薄を上位評価したケース全体で、実際に期待値が生まれているか
です。
今後、
「AI1~3位なのに10番人気以下」
という条件を抽出して、
勝率
複勝率
単勝回収率
平均オッズ
を集計してみても面白そうです。
アスクドゥポルテは、その検証サンプルとしてかなり分かりやすい一頭になります。
レガレイラは逆に「人気馬をAIが嫌ったケース」
もう一つ保存したいのがレガレイラです。
こちらはアスクドゥポルテの逆。
市場では1番人気想定なのにAI5位。
こうしたケースも集計する価値があります。
例えば、
「1~2番人気なのにAI5位以下」
を蓄積してみる。
その馬の単勝回収率が低ければ、AIが人気馬の過剰評価をある程度見抜けていることになります。
逆に普通に高い勝率を残すなら、モデルが実績上位馬を割り引きすぎている可能性があります。
今回のオールカマーは、
AIが人気薄を買って、人気馬を売っている
ような指数構造です。
結果がどちらに転ぶのかは、モデル改善の材料としてかなり価値があります。
今回のオールカマーで確認したいこと
今回の結果後には、特に3つを確認したいと思っています。
まず、3勝クラスから上がってきたキャントウェイトとパンジャが重賞でも通用するのか。
次に、近走成績が振るわないアスクドゥポルテをAIが2位まで押し上げた理由に再現性があるのか。
そして最後に、レガレイラ・コスモキュランダ・ヴーレヴーといった人気上位想定馬をAIが低く見た判断が正しかったのか。
結果次第では、前日の大阪スポーツ杯で見えた
「AIが古い能力評価を残しすぎる可能性」
という仮説をさらに深掘りする必要があります。
逆に今回はAI上位の人気薄が走るのであれば、大阪スポーツ杯を1レースだけで一般化すべきではなかったことになります。
こうして成功例と失敗例を両方積み上げることが、指数の癖を理解する一番確実な方法だと思っています。
まとめ
2026年オールカマーのAI指数1位はキャントウェイトでした。
ただしp_winは8.67%。
2位アスクドゥポルテ7.72%、3位パンジャ6.86%、4位エセルフリーダ6.18%、5位レガレイラ5.88%と続き、上位5頭がかなり接近しています。
したがって今回は、「AI本命が明確なレース」というより、AI自身も混戦と判断しているレースと考える方が自然です。
その中で特に面白いのが、市場との評価差。
7番人気想定キャントウェイトが1位。
11番人気想定アスクドゥポルテが2位。
一方、昨年のオールカマー勝ち馬で1番人気想定のレガレイラは5位。2番人気想定コスモキュランダ、3番人気想定ヴーレヴーは上位5頭から外れました。
キャントウェイトは前走3勝クラスを勝ったばかり。
パンジャも同じ中山芝2200mの3勝クラス勝ち。
対してレガレイラは昨年の勝ち馬、コスモキュランダは宝塚記念4着、ヴーレヴーは近2走1着・3着です。
つまり今回の指数は、実績をそのまま順位に置き換えたものではありません。
だからこそ結果が楽しみです。
注目したいのは「当たるか外れるか」だけではなく、
AIが3勝クラス組を重賞実績馬より上に置いた判断は正しかったのか。
アスクドゥポルテという大穴評価には意味があったのか。
そしてレガレイラを5位に留めた評価は妥当だったのか。
この3点。
前日の大阪スポーツ杯ではAIと市場のズレが市場側に軍配となりました。
同じように評価が割れた今回のオールカマーでは何が起こるのか。
結果が出たら、また指数と実際のレース内容を照らし合わせて振り返ってみたいと思います。



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