騎手別データから見えた「人気馬の信頼度」という仮説
競馬は「馬の能力」だけで決まっているように見えて、
そうではない場面があるように感じています。
特に気になったのは、「人気馬なのに負ける」という現象です。
これは偶然なのか、それとも構造的なものなのか。
その一端を探るために、騎手ごとの成績をデータで観察してみました。
観察の前提(データの出どころ)
今回使用したデータは以下の通りです。
- JRA-VAN Data Lab.(中央競馬の公式データ)
- 単勝払戻をレース単位で結合し、騎手単位で集計
※本記事はJRA-VAN Data Labのデータを基に、筆者が独自に加工・集計したものです。
集計期間は2015年〜2025年の約10年間としました。
短期的なブレを抑えつつ、現在の競馬傾向に近いデータを意識しています。
ノイズ除外の考え方
データの精度を担保するため、以下の条件でフィルタリングを行っています。
- 地方競馬は除外(中央10場のみ対象)
- 取消・中止・失格を除外
- 異常値(NaNなど)を除外
- 現役中央競馬騎手のみ抜粋(短期免許騎手/地方競馬騎手/引退騎手は除外)
結果として、「正常に完走した中央競馬データ」のみで構成しています。
今回の観察テーマ

単純な勝率ランキングではなく、以下の視点で観察を行いました。
- どの騎手が信用できるのか
- 人気馬を任せたときに取りこぼさないか
仮説としては、
「リーディング上位騎手は人気を背負う分、過剰人気になっているのではないか」
という点を検証しています。
騎手別 勝率・複勝率(2015〜2025年)
まずは全体の一次データを整理します。
| 順位 | 騎手名 | 騎乗数 | 勝利数 | 複勝数 | 勝率(%) | 複勝率(%) |
| 1 | ルメール | 7559 | 1869 | 4120 | 24.73 | 54.5 |
| 2 | 川田将雅 | 6258 | 1415 | 3251 | 22.61 | 51.95 |
| 3 | 戸崎圭太 | 8800 | 1364 | 3544 | 15.5 | 40.27 |
| 4 | 武豊 | 6718 | 945 | 2589 | 14.07 | 38.54 |
| 5 | 横山武史 | 6421 | 765 | 2099 | 11.91 | 32.69 |
| 6 | 松山弘平 | 9603 | 1082 | 3013 | 11.27 | 31.38 |
| 7 | 岩田望来 | 5337 | 601 | 1681 | 11.26 | 31.5 |
| 8 | 田辺裕信 | 7010 | 753 | 2228 | 10.74 | 31.78 |
| 9 | 坂井瑠星 | 5835 | 626 | 1772 | 10.73 | 30.37 |
| 10 | 横山典弘 | 4384 | 469 | 1327 | 10.7 | 30.27 |
(※上位10名を抜粋)
オッズ15倍以内の比較
次に「ある程度人気のある馬」に限定した結果です。
| 順位 | 騎手名 | 騎乗数 | 勝利数 | 複勝数 | 勝率(%) | 複勝率(%) |
| 1 | ルメール | 7219 | 1863 | 4079 | 25.81 | 56.5 |
| 2 | 川田将雅 | 5671 | 1394 | 3153 | 24.58 | 55.6 |
| 3 | 戸崎圭太 | 6990 | 1320 | 3312 | 18.88 | 47.38 |
| 4 | 高杉吏麒 | 549 | 98 | 251 | 17.85 | 45.72 |
| 5 | 松山弘平 | 5556 | 989 | 2511 | 17.8 | 45.19 |
| 6 | 坂井瑠星 | 3162 | 560 | 1473 | 17.71 | 46.58 |
| 7 | 岩田望来 | 3102 | 544 | 1410 | 17.54 | 45.45 |
| 8 | 横山和生 | 2098 | 364 | 932 | 17.35 | 44.42 |
| 9 | 西塚洸二 | 445 | 77 | 179 | 17.3 | 40.22 |
| 10 | 横山武史 | 4156 | 715 | 1859 | 17.2 | 44.73 |
オッズ10倍以内の比較
さらに「人気馬」に絞った結果です。
| 順位 | 騎手名 | 騎乗数 | 勝利数 | 複勝数 | 勝率(%) | 複勝率(%) |
| 1 | ルメール | 6853 | 1832 | 3976 | 26.73 | 58.02 |
| 2 | 川田将雅 | 5209 | 1352 | 3008 | 25.96 | 57.75 |
| 3 | 戸崎圭太 | 6043 | 1262 | 3050 | 20.88 | 50.47 |
| 4 | 高杉吏麒 | 421 | 87 | 215 | 20.67 | 51.07 |
| 5 | 坂井瑠星 | 2572 | 525 | 1318 | 20.41 | 51.24 |
| 6 | 横山和生 | 1605 | 324 | 796 | 20.19 | 49.6 |
| 7 | 松山弘平 | 4452 | 894 | 2203 | 20.08 | 49.48 |
| 8 | 岩田望来 | 2505 | 498 | 1246 | 19.88 | 49.74 |
| 9 | 横山琉人 | 353 | 70 | 162 | 19.83 | 45.89 |
| 10 | 池添謙一 | 2142 | 422 | 1068 | 19.7 | 49.86 |
観察結果から見えたこと
3つのデータを比較してみると、いくつかの傾向が見えてきます。
まず、オッズ15倍以内と10倍以内で、ランキングの顔ぶれがほとんど変わっていません。
これはつまり、
中穴でたまたま勝っているわけではなく、
「人気馬でも安定して結果を出している」可能性を示しています。
仮説のアップデート
当初の仮説では、
「人気騎手は過剰人気で危険ではないか」と考えていました。
しかしデータを見る限り、むしろ逆の傾向も考えられます。
- 上位騎手は人気でも結果を出している
- 条件を絞っても順位が崩れない
ここから考えると、
騎手の差は「人気馬での精度」に現れている可能性があります。
まだ分からないこと
今回の分析だけでは、まだ判断できない点もあります。
- 回収率はどうなのか
- 人気が過剰になっていないか
- 条件別(距離・コース)で差があるか
このあたりは今後の観察が必要です。
今回のまとめ
現時点での理解としては、以下のように整理できそうです。
- 人気馬は騎手によって結果に差が出る可能性がある
- ただし、その差は限られた騎手に集中している
- 単純な「騎手ランキング」ではなく「信頼度」の視点が重要
AIのひとこと
まだ断定できる段階ではありませんが、
「馬の能力」だけでなく「騎手」という軸を加えることで、
見え方が少し変わる感覚があります。
もう少しデータを重ねて、この傾向がどこまで再現性を持つのかを観察していきます。



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